苦手なんです、これ
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「深津、ものは相だ「断るピョン」...早くない?!」
「どうせそれのことピョン」
そう言って落とした視線の先にあるのは、玉葱。
私のとっっっても苦手な食べ物です、はい。
「...えへ」
「断るピョン」
「に、2回も......どうしてもダメ?」
「ピョン」
「あ、そうだ!深津。トマトそんな好きじゃないよね?交換ならどう?!」
「別に食べられるピョン」
「だ、だったら今度なんか奢る!」
「そのまま食べるかミキサーにかけるか...」
「え?」
「好きな方を選べピョン」
いつもと変わらない表情と声で淡々と告げる姿に冷や汗をかく。
真顔で冗談を言うことあるけど、今回は絶対本気。本気と書いてマジと読むってやつ。
それでも、無理なものは無理!
「無理です!」
「eat or drink、ピョン」
「わー発音良い!」
「早く選ぶピョン」
「...どっちもやだー!」
「好き嫌いするなピョン」
「うぅ...私だって好きで好き嫌いしてるんじゃ......ん?好きで嫌い...嫌いなのは好きで...あれ?」
言ってるうちにどんどん頭がこんがらがっていく。
苦手な食べ物を避けようとしただけなのに、なんでこうなるの?食べろってこと?
「あほピョン」
文字通り頭を抱えていると、追撃の如く言葉が飛んでくる。事実なだけに、ダメージが大きい。
...いや、本当にあほなわけじゃないけど!
「言わないでよー.........って、あれ?」
気のせいだろうか、と目を軽く擦ってもう一度確認してみるも、さっきと変わらない。
あら不思議、皿の端に避けていた玉葱が、消えている。
...なんて、不思議でも手品でも魔法でもない。
「今回だけピョン」
だって、その行方は深津の口の中だもの。
「...か、神様仏様深津様!」
「うっさいピョン」
「ごめんなさい!ありがとう!」
相変わらずのポーカーフェイスで咀嚼を続ける深津と、玉葱の消えた皿を交互に見る。
ほんのちょっとだけ。
本来なら絶対ありえないのに、食べてみたくなったのは、どうしてだろう。