振り向いてほっぺたつつく悪戯
name change
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「さーとし君」
「なに」
普段あまり表情を変えない人を驚かせると、一体どうなるか。
「えいっ」
「...!」
結果。
変化自体はあまり大きくないものの、キョトンとした顔が新鮮。
「引っかかったね...!」
「...なに、急に」
「ふふふ、悪戯!」
「それはまあ分かるけど」
「やってみたくて」
「そう」
「そーなの」
「満足した?」
「した!......ねえ、ところでさ」
「うん」
「なんでそのまま話してるの?」
「遅くない?」
そう、先程から私の指は彼の頬に密着したままなのである。
「そっちこそなんで手、退けないの?」
「な、なんとなく...」
「そう。オレは退けてくれるの待ってるんだけど」
こうなると意地の張り合いでどちらかが折れるまでこの状態。
...と思うだろうが、それはない。
何故なら相手は忍耐力がずば抜けている男。こんな子供騙しの更に延長戦を挑めんだところで勝ち目はない。
「ごめんね、痛かった?」
「いいや」
「良かった。でもまさかそのまま喋り続けるとは...」
「その割に全然退けなかったくせに」
「いやぁ...あはは、タイミング見失っちゃって」
本音を言うと、あまりにも自然に会話が続くものだから、このままでも良いのかな...なんて思ってしまったのだ。
だってほら、これでも一応恋人同士だし、スキンシップの一環みたいな、ね?
「...照れるとかないの」
「うん」
「そ、即答...!」
「だってキリないし」
「え...」
「よくこういうことするだろ、奈緒子は。自覚あるか知らないけど」
「うっ...」
「それに」
「...それに?」
「これでも割と緊張とか、してる」
既に解放された頬を、今度は自身の手で覆いながら優しく微笑む彼に、さっきまで抱いていた小さな不満は呆気なく消え去った。