おんぶ、からの...
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優しい声で、機嫌良く、笑顔もつけて名前を呼ぶ。
「みーのるくん」
そしたら、逃げられた。
「待ちなさいどこへ行く!」
「お前がその呼び方する時はあまり良いことがないからな」
「ひどーい!」
気づいた直後に回れ右をした幼馴染の服を、絶対に逃すものかと握りしめる。多分これ、シワになるだろうな。
でもほら、稔が逃げなきゃ良いだけの話だし。
「出会い頭に逃げることないでしょ!」
「...じゃあ聞くが用件「おんぶして!」...は?」
早々に観念したらしい稔の問いかけに、待ってましたと言わんばかりの勢いで言葉を被せる。
「良いでしょ、ね?」
「おんぶって...お前なぁ...」
「なによ、別に変なことじゃないでしょ?昔もよくしてくれたし」
「それは小学生の頃の話だろ...なんなんだ突然」
「いーからほら!話はおんぶしてから!」
「...ったく......ほら」
「ありがとー!よいしょっと......じゃ、発進!」
「は?」
「マツモトミノル、はっしーん!」
「...しないぞ」
「ねーねーいーじゃんねーねーねー!」
こんなにしつこくて良いのかって?
大丈夫、だって...
「あーもー......これで満足か」
粘り倒せば彼は必ず折れてくれるから。
「もっと速く!」
まあ、それに甘えすぎてる自覚はある。
だけど、これは昔から変わらないことだから、ね。
「無茶言うな」
「稔なら大丈夫!」
「ダメだ」
「えーなんで?」
「もしなにかあったら奈緒子まで怪我するだろ」
「...!」
ホント、こういうとこも変わらない。
自分より私なんかの心配しちゃってさ。
「...稔」
「ん?」
「わがまま言ってごめんなさい」
「はは、もう慣れた」
あとどれくらい、この先もわがままを聞いてもらえるだろう。
胸の中をぐるぐると巡るなにかを仕舞い込むよう、すっかり逞しく成長した背中にぴったりくっついた。