諸星夢
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時間の流れというものは、一定年齢になると早くも遅くも感じられるらしい。
今の自分は前者で、一年なんてあっという間に過ぎてしまう。
本来なら。
(まだ夕方か...)
壁掛け時計を見上げるのも、朝から何度目になるだろう。相変わらず一定のリズムで針を刻むそれが故障でないことも、スマホと照らし合わせて確認済みだ。
掃除や洗濯、買い物なんかの家事をして、たまに休憩もして...とにかくいつも通りの一日を送っているはずなのに、時間が進まないのはどうして?
...と、分からないフリをしてみたけれど、原因なんてひとつしかない。
(大、今頃なにしてるかな)
今日は、恋人がいないから。
たかが少し会えないだけ?
ははは、残念!今日だけじゃなく明日も会えないんです。まる2日間、大好きな人と会えないんです。
今までもそれくらい会えない日はあっただろ?
そちらも残念!同棲を始めてからずっと、奇跡的にほぼ離れることはありませんでした。
いやこれ、嘘みたいだけど本当の話。
タイミングはもちろん、同棲期間もそんなに長くないし、帰省とか出張とか、一緒にいられない状況そのものが作り出されなかった。
いい歳して乙女チック...かもしれないのは、そういうわけ。
いくつになっても、寂しいものは寂しい。
(そういえば...付き合う前もこんなだったなぁ...)
高校生の頃の話だ。
やっとの思いで告白をする決心がついたのに、そんな時に限って邪魔が入ったりどちらかの都合が悪かったりで、実行するまでに2週間。人生で一番長く感じた2週間だけど、それでも今より平気だったのは、学校で毎日顔を合わせていたからに違いない。
(てかあの時って結局、言葉遮られて私が告白されちゃったんだよね...ふふ...)
懐かしい青春時代の思い出に浸りながら、もう一度時計を見る。
(...全然進んでないじゃん!)
恋人が帰ってくる頃にはおばあちゃんになってしまんじゃないかと、半分本気で思いながらこぼした溜息が、静かな部屋に消えていった。