松本夢
name change
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
『邪魔しちゃってごめんね』
取った手段はこれ、女子同士がよくやる手紙交換。
とりあえず謝罪から記したは良いものの、あまり話したこともない相手に返してくれるだろうか。
(授業中だし...松本君、真面目だからなぁ...)
そんなほぼ諦めてモードの中、どうやら神は私を見捨てなかったらしい。
先程渡した紙が、今度は私の机に置かれたのだ。
『平気だけど、秋山さん、気分でも悪いのか?』
(あ、思いの外字がかわいい...てか、優しい...!)
丁寧な字で綴られた文字に意外性を覚えたり、その内容に感動したり...とにかく忙しない感情をどうにか鎮静し、返事を書く。
この短いやり取りの間に、彼の人柄が誠実であることが十分伝わった。ちょっとくらいのこと、寛容的に見てくれるはず。
だから、私も恥を捨てて正直に話そう。
『大丈夫、元気!ありがとう。実は、松本君の持ってるボールペンが気になって見てたの』
...うん、やっぱりちょっと引くかもしれない。
『ボールペン?』
『うん。キャラクターコラボのやつ!それ、本屋さんの特典だよね?』
『これは一昨日、後輩から貰って』
『そうなんだ!』
『オレはよく知らないから、って渡された』
『そっか!まあたしかに、かわいいの好きじゃないと興味わかないもね』
『...だからオレも、よく知らないんだ』
『そ、そっか...!』
『なんか、悪いな』
(お仲間じゃなかったのかぁ.........にしても、後輩に貰ったからって律儀に使うの、良い先輩すぎない?)
返事を考えつつ、もう一度隣に視線をやると、さっきまでペンケースの前にあったはずのボールペンが消えていて、反射的に持ち主の方へと顔が向く。
目に映ったのは、あのボールペンを手に持ち、じっと眺める松本君。ゆるっとしたキャラクターを真剣な眼差しで捉えるその姿はなかなかシュールな光景である。
でも、私のツボにはめちゃくちゃハマった。
絶妙にアンバランスなように見えて、むしろ奇跡的なバランスを生み出している。
(.........かわいいんじゃない?これ)
再びガン見タイムに入る私に、今度は彼も早い段階で気づいたらしい。ハッとした表情の彼とと視線がぶつかった直後、今度は私の方が逸らされてしまった......かと思えば、一拍置いてまたすぐ返された、笑顔。
それは、どこかぎこちなさの隠せない、照れくさそうなもの。
流れる時間と比例するかのように、心臓が強く大きく鳴る。
***
Q.
秋山さんは、松本君と視線がかち合いました。一拍置いた後、松本君は少しぎこちなさそうに微笑みます。その間、2秒。
さてここらからが問題です。この時、秋山さんどうなったでしょうか。
A.
恋に落ちました。
目が合って、2秒。
たったそれだけの間に、私は彼の虜となった。