松本夢
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Q.
ある女の子は、ある男の子と視線がかち合いました。一拍置いた後、男の子は少しぎこちなさそうに微笑みます。その間、2秒。
さてここらからが問題です。この時、相手の女の子はどうなったでしょうか。
***
それはいつもと同じ何気ない日常の中、全く想定外に起きる。
例えばそう、晴れた日の午後に受ける数学を聞き流している時、とか。
(あれって絶対あれだよね...)
あれとしか表現出来ていない言葉で示すのは、視線の先にあるボールペン。ペンケースから雪崩出たのか、机の上にコロンと転がっている。
ボディーにゆるっとした絵柄とフォルムが特徴的な某キャラクターがデザインされ、ノック部分にはその内の一体がちょこんと鎮座しており、実に愛らしい。
ちなみに私はそのキャラクター達が好きだ。
ノック部分のキャラこそ違うが、家に同じものがある。本屋の特典でランダム形式な為、一番欲しかったキャラのには当たらなかったが、それでもゲット出来て嬉しかった。
が、しかし。
今目線の先にいるのは、その一番欲しかったキャラクター。
(やっぱかわいい...!)
機能性は一般的なものと同じでも、好きなものが身近にあるだけでテンションは上がる。
もとより大して頭に入っていなかった解説は、今や完全にシャットアウトされた。
(ごめんね、プクティー...!でも逆に、プクティーだからここまで私も自由になれるよ、ありがと、プクティー...!)
授業進行真っ只中の数学教師ことプクティーに、本人には聞こえるはずもない謝罪と感謝を述べる。
無論、視線はボールペンから逸らさないままで。
(でも......なんで松本君が持ってんの...?)
ふと浮かんだ疑問。
まあ、本屋の特典だから持っていること自体は不思議じゃないが、使っているのは少々意外だった。今日まで見たこともなかったし。
持ち主は、隣のクラスの松本稔君。
彼とはクラスこそ被ったことはないものの、この数学や体育みたいな合同授業では顔を合わすことがよくある。話したことは数える程しかないけれど、真面目であまり騒がない男の子って印象。
それから、バスケ部で活躍する有望な選手...いや、こっちの方がイメージ強いんけどね。
なお、彼の席は私の真隣だが、席が端のおかげで多少(とは言い難いけど便宜上)横を向いていても平気なのである。あと多分、私と違ってちゃんと黒板の方を見ているから気づかれない。
(松本君も好きなのかな...うわー...思わぬところで仲間発見...!)
心の中ではまるで見知らぬ地で旧友と再会したような喜び方だが、現実は違う。
いくら授業で一緒になるからと言って、自身はおろか友人も親しい間柄ではない相手に「そのキャラ好きなの?!」と、突撃する勇気など皆無。
(...残念だけど諦めよう、同士としてひっそり喜んでいよう...うん、それが良い)
それはそれとして、これから合同授業の時はそのボールペンをガン見させていただきます。
なんて一方的に欲をぶつけたその時。
ついに不真面目な授業態度と、括ったタカにバチが当たる。
松本君と、目が合った。
(やばっ...)
一瞬で逸らし、何事もなかったかのようにノートへ視線を這わせる。もちろん、内心バックバクだ。
(わざとらしすぎた...よね?あ、でもチャンスだった?...いや、一応授業中...どうしよ、うーん.........あっ、そうだ!)
ポケットへ入れていたメモ用紙を取り出し、1枚だけ切り離してペンを走らせる。
書き終わると、プクティーがこちらを見ていないのを確認して隣の席へそっとのせた。