諸星夢
name change
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「そ、れはこっちのセリフなんだけど!え、待って...夕方...あれ、でもまだ明るい...今って何時?!」
「はは、落ち着け落ち着け。とりあえず中入ろうぜ」
軽くパニック状態になる私とは対照的に、冷静な大。
促されて家に入ったは良いものの、クエスチョンマークは増殖する一方だ。
「あー...その様子だとやっぱスマホ放置してただろ」
「えっ...う、うん」
「既読つかねぇからもしかしてとは思ってたけど......ほら」
そう言って、大は自分のスマホを差し出す。
その画面には、私との会話履歴。一番最新のメッセージは、彼の送った内容が未読のまま表示されていた。
送った時刻は数時間前。
『急で悪い、早めに着けそうになった。昼過ぎくらい』
画面上部にある数字を確認すると、どうやら今はその昼過ぎにあたるらしい。
「...ぜんっぜん気付かなかった」
アプリのバグなのか、たまたま音が聞こえない距離にいる時だったのか...いずれにせよ、タイミングが合っていないことだけは確かだ。
「電話もしようかと思ったけど、それより早く帰りたくてさ」
ようやく冷静になってきたところで、苦笑いから今度は照れくさそうな顔で話す恋人に、愛おしさは限界を突破しようとしている。
(なにそれ、なにそれ、そんなの......!)
「すっっっごい嬉しいんだけど...?!」
「え、なんかちょっとキレてねぇ?」
「喜怒哀楽の感情バグってるだけ!」
「なんだそれ」
「私、人生で一番時計見たよ、絶対」
「あー、それオレも......けど、離れるのも悪いことばっかじゃねぇな」
「え、なんで?」
「時間空けたら、次会う時こんな喜んでもらえるだろ?それに...」
大きな両手が頬に触れ、直後に降り注ぐ優しい声。
「椿の、最高にかわいい顔が見れる」
まったく、この男は私をどうしたいのか。
眩しすぎて目が潰れてしまいそうになる。冗談じゃなくサングラスが欲しい。
「...私ってめちゃくちゃチョロイかも」
「今更だろ?」
「なによ.........あっ」
「どうした?」
「あのさ、ちょっとやり直したいことあるんだけど」
「ん?」
改まったように、咳払いをひとつ。
「...おかえりなさい!」
キョトンとした顔が、一拍置いてまた眩しい笑顔を咲かせた。
「ただいま!」
ああ、たしかに。
離れることも悪いばかりではないと言った、彼の気持ちがよく分かる。
単純?
いいえ。ただただ、彼のことが大好きなだけ。