拍手文①


自慢にしか聞こえないと思うけど、私の恋人はものすごくかっこいい。いや、美しいと言った方がしっくりくる。
中性的な顔立ちに、サラサラや髪の毛、ものすごく高身長ってわけじゃないけどスラっとしたスタイルの持ち主。強豪校のバスケ部部長(兼監督)でもある為、他校にまでファンがいる。

でも、そのファンの子達は知らない。

「まーた引っかかったな?」

ハイスペックボーイが、ありきたりな悪戯を積極的に行うような性格だってことを。

「健司!」
「はは、そう怒るなって」
「...怒ってはないよ、悔しいけど」
「じゃあ大成功だな」
「もう!」
「ははははっ!」

健司はよく、振り向き様にほっべをつつく悪戯をする。子どもがよくやるような、あれ。
最初それを仕掛けたのは私の方だったのだけど、何故か彼の方がその悪戯を仕掛ける側として気に入ったらしい。油断しているとたまにやられるのだが、結構な頻度で引っかかってしまう私も私だと、最近思い始めた。

自分がやられた時はものすごく呆れたような表情をしてたくせに...。

「飽きないの?」
「全然」
「...はぁ、いつまで続くことやら」
「嫌なのか?」
「と言うより、指があった時変な声になっちゃうのが恥ずかしいの」
「なんで?かわいいじゃん」

サラッと言ってのける健司に、条件反射で顔が熱くなる。
童話の王子様みたいな面立ちで、少女漫画みたいなセリフ。正直、彼に恋してなくてもときめくこと間違いなしだ。

「か、かわいくないでしょ!あんなの...」
「かわいいよ」
「そ、そうやってまた......う、嬉しいけど、さ...」
「そうやって恥ずかしがるとこも、素直なとこもかわいい。あ、それとさっきの質問だけど」
「...え?」
「いつまで続くのかってやつ。ずっとだから覚悟しといた方がいいぞ」
「なっ...!」
「仕方ないだろ、何回でも見たいって思わされるんだから。オレのかわいい恋人様に」

怒涛のかわいいラッシュと、甘い殺し文句。
キャパオーバーで返事すらままならない状態では、小さく頷くのが精一杯だった。
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