拍手文④


ふと思い出した、ホラー映画の予告。隣には恋人。
そこから導かれた答えは、一緒に観に行く、だ。

「牧君ってホラー好き?」

もちろん、彼が苦手とするなら諦めるけど。

「嫌いではない......が...」
「が?」
「...なんと言うか、気になることが多くて集中出来ないんだ」
「え?」
「例えば、複数で行動していても物音がすると一人で行ってしまうだろう?気になるのは分かるんだが、何故一緒にいたメンバーになにも告げずに行くのか...」

想定外の返答と真面目に考え込む彼の姿に、うっかり言葉が詰まってしまう。
いや、あの、牧君。何故もなにも、それは...

「...ストーリー上の問題というか、ホラーあるある、じゃない?」

なんだか舞台裏を種明かししてる気分になるなぁ...。

「そうか......ああそれと、危険だと分かっていて自分の身は自分で守る、と頑なに一人になろうとするのも...」
「それもホラーあるある......えーっと、怖いとかそういうのは?」
「いや、特に」
「おお......なんか、新鮮だなぁ」
「そうか?」
「うん、私の周りでは初めてのタイプ」
「...それは喜んで良いのか?」
「個人的には褒め言葉!」
「...なら、良かった」
「牧君てさ」
「?ああ」
「たまに、すっごくかわいいよね」

あ、クエスチョンマーク浮かんでる。
そういうとこだよ、牧君。無自覚ですか、牧君。

...とりあえず、映画は一旦保留にしといて、DVDでも借りて彼の何故なにを一緒に解決するのが先かな。
ホラーをダシに、恋人のかわいいとこ堪能しよっと。
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