拍手文②
コタツは大好き。
あったかいし、ほっとする。
「稔、アイス食べたい」
「...取ってこいと?」
「稔、アイス食べたい」
「...はぁ、仕方ないな」
「アイスの実が良い!オレンジ!」
「分かったって」
渋々といった様子でコタツから抜け出し、キッチンへ向かう恋人。
なんだかんだで毎回お願いを聞いてくれる彼は、優しさを通り越してもはやドMなのでは...?とたまに思う。
「ほら」
「ありがとう」
「どういたしまして。でも少しは自分でも動けよな」
「んー...気が向いたらね」
「一生やる気ないだろ、それ」
「うふふ」
「まったく...」
「コタツで食べるアイス、美味しいねぇ」
「良かったな」
「稔は食べないの?」
「今はいいかなって」
「ふーん......ひとつあげよっか?」
「いや、別にい「はい、あーん」...聞けよ」
なんて言いつつ、結局口を開けてくれる稔はやっぱり優しい。
「美味しい?」
「...冷たい」
「アイスだもん」
「温もったのに冷えてく感じがする」
「冷え性なの?」
「違うけど...オレはみかんの方がいい」
「これも同じ柑橘だよ」
「フレーバーの問題じゃなくて...まあでも、ご馳走様」
「ふふ、どういたしまして。あ、そうだ稔」
「ん?」
「あったかいお茶ほしいな」
「...さっきのは賄賂か?」
「違うもーん。稔が寒そうだから言ってあげただけだもん」
「はいはい」
(これは本当なのに...信じてないな)
数分後、温かいお茶を二人分淹れた稔は再びコタツの中へ入り込む。
「次はもう聞かねーぞ」
「うん、ありがと」
「どういたしまして」
「...お茶、あったかいねぇ」
「火傷に気をつけろよ」
「稔は火傷するような温度で淹れないから大丈夫」
「それでも零したりしたら熱いだろ」
「うん、ありがとう」
ちょうど良い温度のお茶をひとくち。アイスで冷えた身体が、じんわりと暖かくなっていくのが分かる。
こういうの、幸せって言うんだろうな。
コタツは大好き。
あったかいし、ほっとする。
「...稔、寒いから隣来て」
それに、大好きな人にたくさん甘えられるから。