拍手文②


「あの、彰君......」
「うん?」
「これは一体...どういう状況でしょうか...」

ついさっき、私と彰君は向かい合わせになるようコタツに入って暖をとっていた。
途中、水分補給も必要だからと彼はその場を離れ、私の分まで飲み物を持ってくれたのだが......何故か、今は私の後ろからコタツに入っている。

え、なんで?

「せ、狭くない?」
「でも、こっちの方があったかいから」
「そ...う、だけど......あ、こっちの方に入りたかったの?変わろうか?」
「いいや、このままで」
「でも...」

正直、ずっとこの状態では困る。

だって、距離が、近いから!

(心臓が...伝わらないよね?大丈夫だよね?......ダメだ、気を紛らわさなきゃ...!)

「あ、彰君てそんなコタツ好きだっけ?」
「んー...コタツは普通に好きだけど、別に出るのがつらくなる程じゃないかな。あったまるのが目的だから」
「そっか...コタツに理性奪われないのすごいね」
「まあコタツに対しては、ね.........けど」
「けど?」
「好きな子にはあんまり効かないかな」
「...っ!」

耳元でボソッと囁かれ、顔が熱くなる。
そういうの、ホントずるい。

「...こ、コタツは!」
「うん」
「あったまる、場所......なので...!」
「ははっ...うん、そうだね」

必死の呼びかけが通じたのか、それとも揶揄われているだけなのか、背中越しにおかしそうな声が聞こえてくる。

密着度はおいといて、向かい合わせに座るよりも断然暖かくなれる方法は、本日身をもって知りました。
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