拍手文②
「あー...コタツ最高、もう一生出ない...」
身体を丸めてコタツの一角に入り込みながら、ダメ人間のようなセリフをこぼす。
「お前それ毎年言ってねぇか?」
そんな私にすかさずツッコミを入れてくるのは、同じくコタツに入り込んで暖を取る恋人。
「だって本当のことだもん。てか毎年同じ気持ちなのすごくない?」
「ったく...んなこと言ってたら堕落一直線だぞ」
「なによ、自分は違うみたいに言って...寿君だってコタツ好きでしょ」
「そりゃ嫌いじゃねぇけど...堕落するからあんまあ入りたくはねぇな」
「入ってるじゃん」
「おう。だから今は出たくねぇな」
「ほらやっぱ同じ!」
「オレは吸い込まれるように入ってくわけじゃねえよ。そもそも床暖派だし」
「浮気者!今すぐここから出なさい!」
「もう入ったから無理だ......つーか、それならお前も浮気者だろ?」
「は?私はずっとコタツ一筋ですけど?床暖よりストーブよりコタツですけど?コタツと添い遂げますけど?」
「だーかーら!それが浮気だっつってんだよ」
「...?」
意味が分からず頭を傾げつつ、何故か少し顔が赤くなっている寿君を見つめ、やがてひとつの答えに辿り着く。
「......もしかして、コタツに嫉妬?」
覗き込むようにそう訊ねると、彼は無言で顔を逸らした。
え、図星?
「えー......なにそれ...かわいい...」
「うっせ!」
「うふふふ、やだもう寿君かわいい」
「言葉の綾みてぇなもんだろ!」
「そうだね、うふふ」
コタツよ、愛する恋人のかわいい嫉妬を見せてくれてありがとう。
コタツよ、やはり私はキミが大好きだ。