今日から始まる
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「寒い...」
そりゃ冬だもの、なんて当たり前のことを心の中でセルフツッコミ。
今日は元日、新しい年のスタート。
世の人々は家族でまったり過ごしたり、初詣に出向いたり、あるいはこんな日も仕事に明け暮れていたりするのだろう。
そんな中、私は一人で近所を歩いていた。
一応弁明のようなものをしておくと、私も初詣に行く途中。両親は先述した仕事組、寝正月宣言をしていた弟は未だ布団の中。
友達を誘っても良かったけれど、あまり人混みの中にいるのも得意ではない。故に、家から比較的近くにある小さな神社に一人で参拝することにした。
大事なのはその行動だから、と。
(...ん?あれって.........あ、やっぱり!)
角を曲がった直後、前方に見覚えのある後ろ姿を捉えた。
日本人にしては大きな体格、後ろからでもわかる頭身の高さとスタイルの良さ。極め付けは、肩からかかる袋の特徴的な形状。
まだ少し距離はあるものの、これだけの情報があれば顔を見なくても分かる。
「おーい、流川君!」
呼ばれた相手はピタリと足を止め、ゆっくりとこちらを振り返った。
ほら、やっぱり。
「やっほ、奇遇だね。あけましておめでとうございます!」
「...うす」
彼はクラスメイトの流川楓君。
その容姿とクールな性格、そしてバスケの才能を持ち合わせる彼は、学校内外の女子達を虜にしている。本人は全くの無関心らしいけど。
「自主練?精が出るね」
「まあ」
「コート滑ったりしないの?...あ、走るとかシュート練習とか出来るか」
「うす」
「動いたらすぐあったかくなると思うけど、風邪ひかないようにね」
「...ども」
ものすごく塩対応をされているように見えるが、彼の性格を踏まえるとかなり良い対応なんだな、これが。
私が恋愛感情を持っていないのが関係あるかは分からないが、少なくとも嫌われてはいないらしい。好かれているとも言えないけど、そこは別に良しとしよう。
(てか、ホントにウザかったら今頃ガン無視されて......あれ?そういえば...)
「今日イヤホンしてないんだ?」
周囲の音をシャットアウトさせる為なのか、集中力向上が目的か、はたまたただの趣味か。たまに見かける移動中の彼は、イヤホンをしていることが多い。
まあ、もししてたら声も聞こえなかっただろうな。
「...親が、危ないって」
「ああ、たしかに。自転車の時もしてたよね?本当気をつけなよ、大怪我したら危ないからさ」
「...うす」
「ところで私うるさくない?もしあれなら黙るかルート変えるから言ってね?」
「...別に」
「あ、良かった。まだ話しかけても平気?」
「...どーぞ」
「ありがと。たまに質問しちゃうかもだけど面倒だったら無視して良いからね。勝手に喋ってるから」
「うす」
神社も彼の目的地へもまだ少し時間がかかる。
流川君とは対象に、私は喋るのが好きなタイプだ。ついさっきまでボッチだった反動もあって、話が止まらない。学校のことやら完全に私の身内話やら、おそらく...いや確実に流川君の興味はわかないであろう話題がほとんど。
聞き流しくれても構わないのに、彼は短い相槌で付き合ってくれた。
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