後ろの席の花形君
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都合の良い妄想か、はたまた夢か。
(今のって...こ、告白...?)
起きた出来事を意味としては理解しているのに、感情は追いつけないでいる。
まるで呼吸が止まったみたいな感覚。ついさっきまで普通に喋っていたのに、声の出し方まで分からない。
それくらい、大きな衝撃だった。
「...すまない、急にこんなことを言ってしまって」
完全に固まってしまった私を、どうやら彼は悪い方へ受け取ってしまったらしい。
「困らせるつもりはなかったんだが...いや、今更言っても言い訳にしかならないな」
(ダメ、このままじゃダメ...勇気を出さなきゃ、ここで出さないでどうするの...!)
「身勝手で悪いが忘れて「そんなの、嫌!」...っ!」
言葉を遮った叫びに、自分はこんなに大きな声が出せたのかと驚いた。
「忘れろ、なんて...言わないで...」
「上田さん...」
まだ本調子に戻れない身体を奮い立たせ、伝えたい気持ちを必死に絞り出す。
「わ、私も...!花形君の、こと...好き、なの...!」
膨らんで膨らんで、それでも無理矢理閉じ込めていた想いが、ようやく解放された。
「...迷惑じゃないのか?」
「迷惑なわけ、ないよ」
「...本当に?」
「本当に...嬉しくて、仕方ないの」
「それじゃあ...オレを、好きだっていうのも...」
顔は熱いし、鼓動はうるさいし、目を合わせるのもやっぱり恥ずかしい。
でも、もう蓋はしないと決めたから。
「...好きです、花形君が大好きです」
真っ直ぐ見つめた先にいる花形君の両目もまた、自分を捉えている。
私の大好きな、あの優しい笑顔で。
「すまない、オレから言い出したことなのに、途中で放棄しようとして...もう一度、やり直させてもらえるか?」
「...う、ん」
「ありがとう......上田さんが好きだ、オレと付き合ってくれますか?」
「...っ、よ、よろしくお願いします...!」
夢みたいな現実に感極まって、ずっと堪えていた涙が遂に零れ落ちてしまった。
そんな私を、少し慌てたように宥める様子がなんだか嬉しくて「大丈夫だよ」と泣き笑いで伝える。
すると彼は、安堵したように微笑んでそっと抱きしめてくれた。温もりと幸せな包まれながら思い出すのは、この恋が始まった日のこと。
席替えのあの日から、私を変えてくれたあなたに焦がれてる。
後ろの席の、花形君。
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