オレなりに、
name change
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「...ん?そういや他にも用あったのか?」
並んで歩きながら、彼女のセリフを思い出す。
あれからすぐ帰る方向が同じだと判明し、ついでだからと送ることにした。
「そうなんですよ、人探ししてました」
「人探し?」
「はい」
「なんでまたそんなことしてんだ?」
「えーっと、その探してる人がですね...」
「どんな奴なんだ?」
「絶対に見つけ出さなきゃってわけでもないんですけど......あ、恩人なんです!」
「恩人、か...」
「はい、恩人です」
「それなら探したくもなるよな。分かるぜ、その気持ち」
自分も恩人である監督がいる。
どんな理由でなのかは知らないが、その想いは大事にするべきだ。
「先輩...分かってくださいますか...!」
「おう!恩人には礼を尽くさねーとな!」
「ですよね!諸々の理由で本当はもう諦めかけてたんですけど......やっぱりお礼だけはちゃんと言いたいです!」
「上田、諦めたらそこで試合終了...オレの尊敬する方からのお言葉だ。覚えとけよ」
「なんて深い...心に刻みました!」
「ふっ...そうだろう、そうだろう」
「ありがとうございます、三井先輩って本当に優しいですよね!」
「まあな」
「優しい先輩が大好きです!」
「まあな......って、サラッとなに言ってんだよ!」
「えへへ」
うっかりいつものペースに巻き込まれるも、なんとか我に返る。
ある意味彼女のおかげで少し冷静になれはしたけれど、解決への糸口は開けていないまま。
「あ、私もうそこ曲がったらすぐなのでここで大丈夫です」
「え...あ、ああそうか。気をつけて帰れよ」
「はい、ありがとうございました!失礼します!」
変わらず元気のいい挨拶をして去って行く後ろ姿を見送りつつ、頭の中では考え事を再開させる。
(ずっとこのままってのもどうなんだ...)
慕ってくれる彼女のことは嫌いではない。
...と言うより、惹かれている。
初めはなんとも...いや、衝撃的な出会いから行動まで驚くところは多々あったが、とにかく特別な感情なんてなかった。
(...けど、あんだけ真っ向からアピールされてりゃ気になるよな)
「せーんーぱーいっ!!!」
早い話、自分は絆されたわけだ。
「三井先輩!また明日!学校でー!」
屈託のない笑顔に...言葉通り『好き』が溢れている、彼女に。
「...だから、デケー声で人の名前叫ぶなって」
大きく手を振りながらこちらを見つめる彼女に苦笑いする。
その中に少しだけ素直な気持ちを混ぜるよう、手を振り返した。