オレなりに、
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初めて会ったのはバスケ部に復帰してすぐのこと。
階段を昇っている時、たまたま自分の前にいた人物がバランスを崩し転けそうになり、反射的に手を伸ばして抱きとめた。その人物こそ上田。
安否を確認するべく顔を覗き込むと、ちょうど彼女の方も顔をあげてガッツリ視線が合い、若干の気まずさを覚えたのを覚えている。
そんな危機的状況もさることながら、驚いたのはその後の彼女の行動。
突然肩をガシッと掴間れたかと思うと、次の瞬間にはものすごい勢いで質問攻め。名前、学年、クラス、部活...言葉こそ丁寧であったものの、答えるまで離さないという強い意志と剣幕の凄まじさに気圧された。一通りのやり取りを終え、それらを呟くように復唱し「覚えました!」と元気よく言い放つ彼女に対し、こちらは状況が飲み込めず頭にクエスチョンマークを浮かべるばかり。
その状況を知ってか知らずか、サッと立ち上がって衣服の汚れをはらい「お怪我はありませんか?」と手を伸ばす少女に、いや、これ立場逆じゃね?と思いながらも声にする程情報処理までは追いつかず、気づけばその手を掴んでいた。
そしてこの日以来、遭遇する度に名前を呼んではこちらへ駆け寄って...ということが続いている。
「...お前暇なのか?」
早々にチームメイトのところへ行くのは諦め、この歳下来訪者との雑談にシフトチェンジした。
「微妙なとこですね。先輩の為なら暇にします」
「なんだそれ」
「本当ですよー!」
「あーはいはい」
「先輩、絶対信じてないですよね?」
「やるっつったらやる奴だってのは知ってる」
「打って変わってめちゃくちゃ信頼してくれてますね?!」
「つーかよ、ダチと話したりとかあんだろ、そっち優先しろよ...オレにばっか感けてねーでよ」
「あー......それがですね...」
楽しげだったトーンが下がり、語尾を濁すような喋りに変わる。
「(やべ...まずったか?)...あーその、つまりだな...」
「友達には基本的に三井先輩のこと最優先で生活するって宣言してて」
「オレの心配返せよ」
「今日は"三井先輩、三井先輩って!他の男の名前出すなんてもう知らない!"って茶番劇で送り出されました」
「...愉快な仲間だな」
「はい!」
声高らかな返事とほぼ同時に、予鈴が鳴った。