11月11日の建前
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今日、11月11日はポッキー&プリッツの日。
そしてこの日に付き物なのがポッキーゲーム、恋人や友人同士でやると盛り上がる、アレだ。
「寿君、ポッキーゲームしよう」
ここにもそのゲームを持ちかけてくる者が一人。
声の主は上田奈緒子、オレの恋人だ。
「...言うと思った」
「なら話は早いね、やろ」
「ヤだよ。口ベタベタになるし」
「チョコついてない方譲ってあげるから」
「それ最初汚れないだけだろ」
「やだー!やろーよー!」
頭をグリグリと押しつけて駄々を捏ね始める奈緒子。こうなった彼女は、こちらが折れるまで諦めない。
「...ったく、仕方ね「寿君ならそう言ってくれると信じてたよ」...変わり身はえーな」
内心では少し沸き立っているものの、悟られないよう呆れた風に承諾の意を伝える。
「つーか、言わせる気しかなかっただろ」
「うふふ」
「で?肝心のポッキーは」
「あるよ、ほら」
そう言って差し出された薄い箱には、たしかにポッキーの綴りが英語で書かれていた。
が。
「お前これ.........アーモンドじゃねぇか」
ノーマルサイズでも極細でもいちご味でもなく、何故よりによってアーモンドなのか。
別にアーモンドが嫌いなわけじゃない。むしろかなり好きだ。
しかし、それはあくまで普通に食べるていでの話であって、これからやろうとしていることに関しては別である。どう考えても不向きなタイプではないのか。
「美味しいよね、アーモンド味」
「いや美味いけど...ポッキーゲームにはむかねぇだろ、これ」
「私もそう思う」
「思うならなんで買ったんだよ...」
「だって寿君がこれ好きって言ってから」
さも当然のように言い放つ彼女に、うっかりときめいてしまった。
ゲームをしたい欲と自分の恋人の好みを両方頭に入れたまま、割ることもまして引くこともせず強行する。実に彼女らしい。
「...ポッキーゲームは諦めろ。どっちにしろやりづれぇし」
「うーん...仕方ないか。じゃあもう普通にチューしよ」
「お前ホント...」
「うん?」
正直、ゲームを持ちかけられた時から薄々勘づいてはいたけれど、やはり目的はそれか。
「んな堂々と言うならゲームとか回りくどいことしなくても良かったんじゃねぇか?」
「せっかくのポッキーの日だもん」
「だとしてもだろ」
「まあまあ、細かいことは気にしないで。ほら、チューは?」
目を閉じながら軽く唇を突き出す奈緒子。どこまでも自由だと思いながらも、結局その全てが愛おしくてたまらない。
照れくさい気持ちを誤魔化すように、大人しく待つ彼女に唇を重ねる。
ポッキーなんかなくても、十二分に甘く感じた。
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