予測不能と確定事項
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「...で、なんであんな格好だったんだ、奈緒子」
「天気が良かったからちょっと散歩に行ってて。そしたら帰りに突然」
落ち着きながらも未だ怪訝な表情で訊ねる寿君に、順を追って説明していく。
「ゲリラ豪雨だったしな...まあそこは仕方ねぇけど」
「でしょ?それで、いつ弱まるかもわからないからダッシュで帰ったは良いけど、池に落ちたみたいになっちゃって...お風呂入ろうって」
「...で?」
「いつの間にか帰ってきてた寿君に悲鳴上げられちゃって、私もつられて叫んじゃった」
「そことばすなよ!」
「だってそうだったじゃん!」
「オレが聞いてんのは叫ぶ前のとこだっつの!パンツ一枚で廊下彷徨く理由!」
「パンツとか大きな声で言わないでよ!人を変態みたいに...もう!」
「わる......いやオレから見たらその通りだろ?!」
「ひどーい!私はただ忘れ物漁ってただけだもん!びしょ濡れの服着たくないし!」
「タオルくらい巻けよ!もしオレじゃなかったらいろいろやべーだろ!」
「鍵かけてたもん!私だって寿君が急に目の前に出てきてびっくりしたんだからね!」
彼は今日、友人の家に行くと言っていた。帰りの時刻は聞いていたものの、まだそれには早い。
まあ、帰宅時の物音はドライヤーでかき消されてしまったのだろうけど。
「オレも雨降りそうだったから早めに切り上げたんだよ、連絡入れたろ?」
「それは見たけど...でも早すぎない?こんな雨なのに濡れてないし」
「あいつが車出してくれたから...」
「なにそれ羨ましい」
「...って、話逸れてきてんじゃねーか」
「えーもういいじゃん...聞かれたことは答えたよ」
「はぁ...家でももうあんな格好すんなよ」
「わーかーりーまーしーたー」
「お前反省する気ねぇな?」
「してますぅ。てか、今更パンツ一枚でいるとこ見たくらいで動揺するなんて...全部見てるでしょ!」
「ばっ...!それとこれとは話が違うんだよ!つーかお前もパンツって言ってんじゃねーか!」
「照れてる?照れてるの?」
「うっせー!」
付き合って何年も経つどころか同棲までしていると言うのに、未だこんなことで赤くなってしまうとは。
「...ホント、寿君てかわいいしよね」
「な、なんで急にそうなんだよ?!」
「だって結局お風呂出るのも待っててくれたし」
「...冷えたままじゃ身体によくねぇだろ」
「髪乾かすの手伝ってくれたし」
「...濡れた頭じゃ風邪引くだろ」
「上着用意してくれてるし」
「...湯冷めしたら意味ねぇだろ」
「床拭いて洗濯までしてくれてたし」
「...あのままにしとけねぇだろ」
「今も痛くならないようにクッションひいてくれてるし」
「...床に直座りじゃ冷てぇだろ」
「おまけにホットドリンク付き」
「...風呂上がりは水分補給必須だろ!」
「そういうとこだよ」
このお説教もだが、結局のところ彼のやることは私を想ってのもの。
それが彼の行動から強く伝わってくる。
「...そこは優しいとかで良いだろ」
「そうだね。じゃあ、優しい寿君にお願いがあるんだけど」
「お願い?」
「うん。私、雨に打たれまくったじゃない?そのせいでだいぶ気持ちが沈んじゃってるの」
「そうは見えねぇけど」
「スペシャルバスタイムもなくなっちゃったし」
「なんだスペシャルバスタイムって」
「と言うわけだから、慰めて!Hold me tight!」
「全体的にマイペースすぎんだろ...」
「...ダメ?」
「............ったく、仕方ねーな」
渋々みたいな態度だけど、それがただの照れ隠しなのは表情や声、それとまわされた腕の優しさから分かった。
「んー......幸せ...」
「...そーかよ」
「うん。寿君は?」
「...オレも、幸せ」
胸の奥がじんわりと暖かくなっていく。
(お風呂やあったかい飲み物も良いけど、やっぱり一番効果あるのは寿君だなぁ...)
心身共に感じる幸せに浸りながら、まだ降り続いている雨に感謝した。
