夜に散歩
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夏から秋へ、少しずつ変わっていくのが好きだ。
「...歩きたいな」
家の中でまったりと過ごした休日の終盤。
何気なく放った言葉は、もちろん意思あってこそのもの。
それでも、インドアを拗らせていると言われがちな私が、自ら外へ出たいなどと発言するのはかなり珍しい。
証拠にほら、そのセリフを聞いていた相手は驚きをそのまま貼り付けたような顔でこっちを見ている。
...そんなに驚くことだろうか。
「歩くって...奈緒子が、か?」
ここまで不審がられる程、大層なことではない気もするけれど、これは普段の自分の言動のせい...と、甘んじて受け止めておくことにする。
「他に誰がいるの」
「...そう、だよな」
「よし、じゃあ行ってくるね」
「は?!一人で行く気かよ?」
「うん。だって疲れてるでしょ?」
「んなひ弱じゃねぇよ」
「でも持久力あんまないじゃん」
「ちょっと散歩するくらいの体力あるっつーの!」
「本当?」
「たりめーだろ。お前はオレをなんだと「愛しの彼氏の寿君」...は?!」
彼の言葉を遮ってそう告げると、さっきとは違う驚きの色が彼の顔に浮かんだ。
季節もさることながら、彼の表情の変化もなかなか趣深い...なんて思うのは、自分が彼に特別な感情を抱いているからだろう。
「もしくは最愛の恋人寿君」
「おまっ...!」
「本当だもん」
愛しの彼氏様も、最愛の恋人も、どちらも本音。
別に揶揄ってるわけじゃない。ストレートな愛情表現なんていつものこと。当然、彼もその度経験しているわけだ。
どうしても慣れないみたいだけど。
でも、慣れないながら彼なりに応えようとしてくれるのは伝わってる。
「...そ、それでどうすんだ?」
こうやって寄り添おうとしてくれるとことかね。
「ふふ。行こっか、一緒に」
「...おう」
心配したり、拗ねたり、怒ったり、照れたり、喜んだり。
感情の変化が目に見えてしまう彼のことが大好きだ。
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