終わり良ければすべて良し
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絶対にやめてくれと思うタイミングにこそ高確率で出現し、どれだけ小さくてもメンタル及びモチベーションに大ダメージを与えてくる、それがニキビ。
この世の女にとって天敵他ならない、悍ましく憎たらしいヤツ。
「はぁ......」
「どうかした?溜息なんかついて」
「...神君さ、ニキビの存在意義ってなんだと思う?」
自分で口にしておいてなんだけど、人生でこんな質問されることって数える程もないだろうな...と頭の片隅で思う。
「うーん...考えたことないかな」
ただ答えるだけでなく、わざわざ作業を中断して考えてくれるところに、彼の優しさを垣間見た。
「それで正しいんだよ、考える必要性のない無意味なものなんだから......おのれ忌々しい...」
「荒れてるね」
「肌も心も荒れに荒れてるよ...」
「それでマスクしてるんだ?」
「うん...」
返事をしながら無意識にマスクへと伸びる手。
「何でよりによって今日できるかなぁ...しかも鼻とか恥ずかしすぎる」
「そんなに気になる?」
「なーるーのー!」
私が神君の立場ならものすごく面倒くさいと思いそうなやりとりも、彼は無視したり適当にあしらったりせず、丁寧な対応を続けてくれる。
そんな優しいとこが本当に好き.........って、まさに今日告白するつもりだった。
“絶対にやめてくれと思うタイミング”で顔の中心にヤツが現れさえしなければ、ね。
思えば、振られて大泣きしても大丈夫なように、と週末まで待ったのが悪かった。
これもある種のストレス、多感な時期故に嫌でも影響が出てしまったのだろう。おまけに昨夜は緊張状態がピークで寝られなかった。
...あれ、原因どう考えても自分じゃない...?
「ここ1週間の自分の肌が露出する部分以外を気絶するまで殴りたい、特に昨日の夜」
身から出た錆......とまではいかないが、激しい後悔は容赦なく襲ってくる。
「どうして急にDV思考の人間みたいなことを...」
「だって自業自得なんだもの...」
「だからって物騒すぎるよ」
「せめてあの時早く眠りについていれば...!私が臆病なせいでこんなことに...!」
「落ち着いて、後半サスペンスドラマの被害者と親しい人のセリフみたいになってるから」
こんな時でも神君の優しさは健在......ってちょっと待って。
「...なにその喩え」
さっきはスルーしちゃったけど、DV云々も何気に的確すぎない?
冷静になった...いや、ならざるを得なかった私を見て、神君は表情を和らげた。つられてこっちも目尻が下がる。
ああもう、なんて素敵な笑顔。
「良かった、やっと笑ったね」
「私そんなに酷い顔してた?」
「うん」
「酷いってとこは否定してほしかったな」
「ごめん、つい」
「ふふ、いいよ。あー、なんか気分スッキリした」
「それなら良かった」
「神君のおかげだよ、ありがとう」
「どういたしまして?」
「あはは、なんで疑問形なの」
「ところで」
「うん?」
「上田は好きな人っている?」
今朝、鏡を見た時と同じくらいの衝撃が襲う。
当初の目的こそ果たせなかったものの、今はこんなに幸せ......なんて浮かれ気分でいたところに、突然の爆弾発言が投下された。
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