隠せない
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「ハロウィンだよ、彰君」
「ハロウィンだね、奈緒子ちゃん」
「じゃあ今から地味ハロウィンするか当ててね。衣装替えとかはしないから」
「うん。けどハロウィンてそんな行事だっけ」
「はいスタート」
「ははは、マイペースだなぁ」
なにをやってるか当てるかなんて、ハロウィンと関係ない。それ自体はただのモノマネやジェスチャーゲームだ。
「はい、これなんだ」
掛け声と共に両腕を組んで仁王立ちになる。ついで...じゃないけど、少し唇を噛み締めた表情つき。
「怒ってる奈緒子ちゃん?」
「もっと具体的に」
「んー...せっかく好きなお菓子をゲットしたのに実はハロウィンで女の子が配ってたものだったうえにオレがそのことを言っちゃって嫉妬してるけど本当のこと言うのは頑張って押し殺そうとしてる奈緒子ちゃん」
「ノンブレスだし具体的すぎてちょっとこわい」
「えぇ...」
我ながらなんで理不尽なことを言うのだろうとも思うが、こんな細かく返されるのは想定外だったし、まあ見逃してもらいたいところだ。
「...って、理解しすぎじゃない?」
「当然。オレがどれだけ奈緒子ちゃんのこと見てるか知らない?」
「知ってる、けど......私がすぐ嫉妬しちゃうのも分かってるよね?」
「うん」
「じゃあどうして、わざわざ言っちゃうの?」
無理矢理こじつけて提案したゲームの一番の理由。ハロウィンにかこつけて、嫉妬した事実を隠そうとした結果。隠せてないけど。
本音とは言え、いざ言葉にして確認すると幼稚な嫉妬が恥ずかしくてたまらない。
そんな私の心情を知ってか知らずか...いや、彼のことだから多分知っているのだろうけど、ニコニコと笑みを浮かべながら質問に答えていく。
「かわいいから」
「なっ...」
「嫉妬してる姿も、それを頑張って隠そうとするとこも、結局隠せなくてこうなっちゃうとこも、全部かわいい」
「も、もう分かったから...私の負けです...」
次々と繰り出される言葉に思わず顔を覆った。
嬉しいやら、恥ずかしいやら、悔しいやら、いろんな感情が忙しなく動き回っている。
トリックオアトリートなんて言ってないのに、まるで悪戯されたような気分だった。