無意識
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「あのさ、諦めようって思ったことないの?」
「ないなぁ」
「私に彼氏がいないから?」
「彼氏くらいで諦める程いい性格じゃない」
「さすがに略奪はダメじゃないかな」
「物のの例えだよ」
「ふーん?......でも仙道君みたいな人だと、その気がなくても事実上略奪ってこともありそう」
「...へぇ、嬉しいな」
「え、今の喜ぶとこ?」
「そりゃ、好きな子からの客観的評価が高いんだから喜ぶよ。それだけ自分のことを知ってくれてる証拠でもあるから」
思わず言葉に詰まる。
彼のことを知るようになったのは事実だ。
けれど、それを認めるのは自分の立場的にどうなのだろう。
考え込んて無言になる私に、今度は彼の方から話しかけてきた。
「上田さん」
「な、なに?」
「さっきの質問」
「質問...?」
「諦めないちゃんとした理由の答え」
「...あるの?」
「もちろん。ヒント、今までなんて断ってたか思い出してごらん」
「今まで...?」
思い出せる範囲のことを頭の中に浮かべてみる。
よく知らないからと頭を下げた次の日、これから知っていけばいいと言われた。
そんな形の恋愛もありだとは思う。けど、もし好きになれなかったら申し訳ないからと断り、しばらくは口実に使った。
その次はたしか、僅かでも好きになる可能性があるのなら、と。
この先の気持ちなんて自分には分からないから否定は出来ない、でも肯定も出来ない。少し考えた末に、もし夢中になって勉強が疎かになったら困るからと言い逃れた気がする。
...あとはだんだん雑になっていったような。
学校行事が忙しい、今日は天気が良くないから、お気に入りの紅茶が売り切れだったから、とか言った気がする。
あしらい慣れたとは言え我ながら酷いな...特に後半。
でも、これにどんな共通点があるのだろう。
「...わかんない」
「まいったな、無意識だったとは」
眉を下げた困り顔は普段より幼く感じる...って観察してる場合じゃない。
降参のポーズを見せると、仙道君はにっこり笑って教えてくれた。
「一度もないんだ、オレが原因で振られたこと」