無意識
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半年ほど前のある日、人生で初めて告白をされた。
お相手はバスケ部のエース、仙道彰君。
同学年で結構な有名人だから顔と名前は認識していたけど、クラスや委員会が一緒だとか特別関わりがあった記憶はない。
色恋沙汰に興味がないわけではなかった。
しかし、いざ当事者というポジションに立たされると気後れしてしまい、結果生まれた答えが”自分にはまだ早い”。
そのままを伝えるのはなんとなく憚られ、「よく知らないから」と無難な理由で丁重に断った。
さて、問題はここからである。
どうしたことか、彼との関係はそこで終了とはならなかったのだ。
まあ、それだけなら別に構わない。お互い気まずくなることなく友人関係を築くこともあるだろう。
じゃあなにが問題なのかって、あの日から何度も交際の申し込みが続いていること。
「...仙道君さ、よく一人になる時狙えるよね」
今日も今日とて私の前に姿を現した仙道君に、前々から思っていたことを聞いてみた。
「あれ、もしかしてストーカー扱いされてる?」
「いや、ただすごいなって」
多くはないけど友達はいるし、一人になるにしてもいつも決まった場所にいるわけじゃない。クラスが違えば行動の予測も立てづらいはずだ。
それにも関わらず、最初の接触を含む全てが人目につかないタイミングで実行されている。
おかげで一連の出来事は公になることなく、当事者同士のみの問題で済んだ。(これは本当にありがたい)
「愛の力ってやつかな」
「...さっきは言い方がストレート過ぎて申し訳ないと思ったけど間違ってなかった気がしてきたよ」
「ごめんごめん、ウソだからそんなこと言わないで、ね?」
「はいはい」
「...ああでも」
「でも?」
「狙ってるってのは否定出来ないな」
「えっ」
「二人だけの秘密の関係も悪くないからね」
この半年間で仙道君について学んだことのひとつだけど、彼はよくこんな風に冗談を言う。慣れてきたものの、多少はどきどきしてしまうのが悔しい。
ひとまずペースに呑まれてしまわないように笑って誤魔化した。