Pleasa fall in love with me
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「私のこと好きになって、藤真!」
これが、好きな人への第一声。
強要...もとい、告白をする顔見知り程度の同級生に、相手は目を丸くしていた。
そりゃ当然。言っといてなんだが、自分だって同じ反応をするだろう。
渦中に立つ彼は、その後すぐニカッと笑ってこう答えた。
「その清々しさと根性は嫌いじゃないぞ」
一目惚れ。
既に彼に惚れている自分には適切ではないかもしれないが、これ程しっくりくる言葉も他にない。
(...もう2年以上か)
懐かしい記憶を巡らせながら、薄暗い道を歩く。
あれからずっと、似た様な言葉を繰り返し送り続ける日を重ねてきた。その度に返ってくる答えもまた、似た様なものばかり。
まあ、そうでなければ未だに続いているはずなどないのだが。
けれど、あの日以上に胸の高鳴りを感じたことはない。
やはり、あれは一目惚れのサイン...?
(でも、好きな人に一目惚れって...おかしな話だよね)
そう、あの時点で私は藤真のことが好きだった。もちろん、恋愛的な意味で。
それなのに、あの笑顔を見た瞬間、初めて恋に落ちたような衝撃が走った。
(そんでその初恋相手も藤真だけど一目惚れじゃないし、本当謎.........あっ)
「...藤真!」
まばらに行き交う人々の中で見つけた、同じ学校の制服。
噂をしたわけでもないのに、今日は運が良い。
「やっほー、今帰り?」
「ああ」
「お疲れ様」
「おー...上田はどうしたんだ?こんな時間まで」
「本借りるついでに図書館で勉強してた。そしたらこんな時間」
「へぇ。わざわざ図書館行ったのか」
「うん、学校じゃ仲良い人と会うと絶対話しちゃうから。図書館にしかない本も借りたかったし」
「真面目だな」
「えへへ......まあ勉強飽きたらすぐ漫画読めるメリットもあるからなんだけど」
「そっちがメインだろ」
「そ、そんなこと...」
「息抜きと勉強の比率は?」
「7:3!」
「オレの勝ちだな」
「うっ...参りました」
「...ははっ」
一見すると仲の良い友人関係にも見える私達がその実、互いを袖にし、され続けていると、誰が想像しよう。
(...我ながら、変な関係だよなぁ)
チラリと盗み見た横顔は、相変わらず童話の王子様のように美しい。恋愛フィルターなのか、陽が落ちたこの時間でも、彼の周りだけキラキラと輝いて見える。
だからこそ、すぐに藤真だと判るのかもしれない。
(あー......やっぱ好きだなぁ)
溢れてくる想いが、慣れた様に喉の奥から言葉を引っ張り上げてくる。
「...ところでさ、藤真」
「なんだ」
最早、形式上とも言えるやりとり。
だって、この後に続く言葉がなにかなんて、この数年で嫌と言う程理解しているでしょう?
「そろそろ私のこと好きになった?」
馬鹿の一つ覚えのセリフに、今日はどんな返事を聞かせてくれるのか。
「ああ」
「やっぱりか、一体いつ............なんて?」
「好きになった、上田のこと」