重要なのは
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「あんたも飽きないね。そんなに藤真が好き?」
「好き!」
「はっや」
忘れ物を取りに教室へ戻る途中、自分の名前と聞き覚えのある声が耳に入り足が止まった。
授業が終わっても学校に残る人間は限られている。退勤前の教員達、勉強に勤しむ者、自分と同じく部活に精を出す者、そして友人との談笑を楽しむ者。
声の主達は最後の項目に該当するわけだが...確認するまでもなく、上田と友人だろう。
この時間帯まで話しているのも驚きだが、それよりも気になるのは内容。
「たしかに超絶美形だし気持ちは分かるけど」
「でしょ?!藤真君の美しさはもう芸術とか神秘的とかそういうレベルの「やかましい」...ひどい!」
「こっちはあんたの藤真プレゼンを耳にタコが出来るくらい聞かされてんのよ」
「わぁ!藤真君の素敵なとこいっぱい知れて良かったね!」
「おかげで無駄に藤真に詳しくなったわ」
「藤真君のことで無駄になることひとつもなくない?!」
「はいはいそーね」
女子トークだか漫才だか分からない会話に思わず頭を抱えてしまう。
温度差を若干哀れに感じたからではなく...いや、これも嘘ではないけれど、とにかくそれは置いといて。
(なんか...すっげー恥ずかしいこと言われてないか?)
直接伝えられている時はそうでもなかったが、人に話しているのを客観的に見ると、どうもむず痒く感じる。
(つーか本当にオレの顔好きなんだな、あいつ)
日頃からあれだけアピールされていたものの、改めて思うとブレなさがすごい。
もちろん、嫌われるよりは好かれた方が良いのだろうけど、他に好きなところはないのか。
(...ってオレが考える必要あんのか?......いやでも、どこを好きになったか普通は気になる...よな?)
今朝方似たような話をしたが、結局分からないまま終わったし、そもそも今とあの時では状況...というか心情が異なる。
一人悶々する中で、意外にもあっさり解決の糸口が見えた。
「で?顔以外は好きなの?」
「当然!」
「ふーん...たとえば?」
不本意ながら盗み聞きしている立場、動揺してしまうのも仕方ない。それでも、図ったようなタイミングと質問に一瞬肝を冷やした。
彼女の方はと言えば、改まったり緊張したり...なんてこともなく、一拍だけ置いて話し始める。
「物事に真摯に臨むとこ、周りよく見てるとこ、思いやりあるとこ、ダメなことダメって言えるとこ、勇ましいとこ、凛々しいとこ、あとは......」
彼女はいつもと同じ声で、いつもと違う言葉を紡いだ。