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いつもと同じ朝。
起きて、支度して、家を出て、学校へ行って、友人に挨拶をして...。
それからもうひとつ、日常になっていること。
「おはよう藤真君、今日も最高にかっこいいね!」
決まった相手からの、決まったセリフ。
ちなみにこれも朝の日課ではあるが、遭遇する度微妙にニュアンスを変え、日に何度も同じ言葉を投げかけられる。
「...はよ、上田」
「花形君もおはよう」
「ああ、おはよう上田」
「今日も最高に眼鏡だね!」
「言うことがないのなら無理に言わなくてもいいんだが...」
「似合ってるって意味だよ」
「そうか、ありがとう」
「どういたしまして」
ここで言うところの最高に眼鏡な男は、友人兼クラスメイト兼部活のチームメイトの花形。
今更だがその発言は少しボケているんじゃないだろうか。
もう一人の話し相手の名は上田奈緒子。
隣のクラスに在籍する彼女は、オレのことが好きらしい。
らしい、と言うのは確信がないからではなく、その好意が少々独特なものだからだ。
「どうして朝からそんなに素敵なの?」
「さぁな」
「キラキラしてるのはエフェクトかな?」
「人外かよ」
「たしかに藤真君の美しさは人知を超えてるよね、神々しい...アフロディーテ?」
「アフロディーテは女神だけどな」
「フジマディーテ?」
「もはやなんの神なんだそれ」
「愛と美の象徴かな、私の為の」
「花形、黙ってないでなんとかしてくれ」
「口を挟む隙がなくてな」
こんな具合に、外見への賞賛や好感は過剰な程伝えられるものの、告白らしい告白はない。
あくまで個人的な考えだが、恋愛と言うよりアイドルなんかへの憧れに近い感情を抱かれているのだろう。芸能人で誰が好きかとか、そういうやつ。
「...上田」
「なに?藤真君」
「一応聞くが...上田はオレのどこが好きなんだ?」
「顔かな」
「帰れ」
間髪入れずに返してしまったのは、決して他の答えを期待していたわけではない。
むしろ予想通りすぎて笑顔になったくらいだ。
「待って待って顔だけじゃないから、顔が好きなのは事実だけどそれだけじゃないから本当!」
「...ふーん」
「だが一番好きなのは?」
「顔かな」
「帰れ」
「花形君のせいで弁明出来なくなった...!」
「すまない」
「いいよ!」
「お前ら仲良いな」
「嫉妬?藤真君それは嫉妬?やだもう照れちゃう」
「花形、今日の体育なんだっけ」
「男子はバレーだ」
「二人揃ってスルーしないで」
でも、正直すぎるこの性格と、こんな風に過ごす時間は気に入っている。
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