仙道くんとユーレイさん
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自分自身、大抵の事はあまり深く気にしないタイプだと思っていたが、改まった状況に置かれると存外そうもいかないようだ。
『キミが思い詰める必要はないよ』
そして、それは頭上から降る声の主も同様らしい。
『あの手の女は新しい出会い見つけたらすぐそっちに飛びつくし...ほっといても平気ってこと。ちょっと説教されたくらいで退散したし』
「...ちょっとってレベルじゃなかったですよ、あれ」
『細かいことはいいの』
「ははっ...そうですね」
淡々と話していたのに、最後にはバツが悪そうに顔を逸らす彼女を見ていたら、肩の力が抜けていく。
「詳しいですね、レイコさん」
『それなりに人生歩んでたら嫌でも分かるようになるよ』
「まだ若そうなのにそんな...」
『あー、とにかく!ああいうのは実態あろうがなかろうが一定数存在するのよ。だからキミのせいじゃな.........あっ』
和やかな空気の中、なにかに気付いたように声をあげた彼女が、さっきと一転して考え込むように押し黙った。
「どうかしたんですか?」
『......いや...ちょっとね』
言い淀むなんてらしくない。
まあ、昨日今日の関係である彼女にそう思う自分の方が、一般的な感覚としては多分ズレているんだろう。現に、根拠はない。
...が、その代わりに浮かんだ仮説がひとつ。
「レイコさん」
『ん?』
「もしかしなくても、オレに気を遣ってます?」
わざわざ疑問形にする必要などない。
無意識か否か......それは定かでなくとも、彼女が優しい心の持ち主であることは知っている。
「話してください。オレとレイコさんの仲でしょう?」
『まだ会って一日も経ってないけど』
「まあまあ...細かいことはいいんでしょ?」
『...!それは...まあ......はは、余計なこと言っちゃったな』
彼女と同じセリフで試みた説得は、どうやら上手くいったらしい。
険しかった表情が徐々に和らぎ、静かに話し始めてくれた。
『...さっきの、霊感がどうこうって話、元からじゃないなら原因があるってことなんだけど』
「原因...ですか」
『ええ......で、その原因ってのが予想ついちゃって』
「疲れが溜まって、とかじゃないんですか?よく知らなけど」
『それもなくはないと思う...でも、今まで一切経験がなかったなら他に明確な理由が存在するってこと...だから、その...』
再び言葉を濁す姿を見れば、彼女の言いたいことがなんなのか見当はつく。
「それってつまり.........レイコさんの影響...ってことですか?」
その問いかけに、彼女は気まずそうに頷いた。