仙道くんとユーレイさん
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「やっぱ夢か......」
珍しく寝覚めの良い朝にこぼれた第一声。
昨晩...正確には今日未明に起きた出来事をうっすらと思い返してみるが、そもそも起きていたこと自体夢だったのでは...とまで思う。
「結構おもしろかったのにな」
『なにが?』
「うぉっ...!びっくりした...」
速攻でその可能性は消えたけれど。
『その驚き方失礼じゃない?』
「一人暮らしなもんで...家の中じゃ他人の声聞き慣れてないんですよ」
『そう』
「あと上から急に声したら大抵の人は驚きます」
『まあそうね。ごめん』
「いえ、オレの方こそ......おはようございます、レイコさん」
『だから......はぁ、もういいわそれで。おはよ』
呆れながらもしっかり挨拶を返してくれるあたり、彼女の律儀さと優しさを感じる。
『早速だけど話の続きしても平気?』
「はい、お願いします」
『それじゃあ......あ、その前に確認なんだけど』
「はい?」
『やっぱり見えてる?』
「見えちゃってますね」
『聞こえてる?』
「聞こえちゃってますね」
『うーん......じゃあキミ、元から霊感とかあるの?』
「いえ全然」
昨日と同じやりとりに加え、新たな質問にも即答すると彼女は驚いた表情を見せた。
驚いた、よりは疑ってるようにも見える。
『は?嘘でしょ?』
ほら、やっぱり。
「嘘じゃないですよ」
『初めて遭遇した人間の反応じゃなくない?』
「そう言われても......あんないかにも霊です、みたいなのと遭遇したのも、レイコさんみたいなのとこうして話すのも本当に初めてですよ」
『よくすんなり受け入れられるね。どんな順応性してんの?』
「ははっ」
『はあ......まあとりあえず続きね。昨日のアレ、なんか心当たりとかある?』
「全く。結局なんだったんですか?」
『生霊の小娘』
「生霊の小娘」
『そ、恋焦がれた末に生霊と化した人間の女の子』
女の子。
あの時のレイコさんの言葉から色恋沙汰だとはなんとなく理解していたものの、改めて聞くと複雑な気分になる。正直、人から好意を寄せられることは珍しくなかったが、今回のようなことは未経験。
つまり、身に覚えがない。
...とは言っても、自分が気づいていないだけでなにかあった可能性は十二分にあるだろう。知らぬ間に気を持たせるような言動をしてしまったとか、あるいは傷つけてしまったとか...。
いずれにせよ、自分が蒔いた種であることに変わりはない。