仙道くんとユーレイさん
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人型の幽霊=某ホラー映画のおばけ...の印象を抱いてしまうのは、日本人あるあるだと思いたい。
『...もしかして見えてる?』
「見えちゃってますね」
『...もしかしなくても聞こえてる?』
「聞こえちゃってますね」
『...本当に?』
そんなイメージとかけ離れた......端的に言って美しい顔立ちの彼女が、半信半疑にこちらの反応を伺っているのだから可愛く感じてしまう。
おどろおどろしいわけでもなく、身体が欠損しているわけでもなく、怒声ではあったものの意思疎通がとれる相手。言うなれば普通の女性と大差ない、それが今現在のレイコさんに対する感想だ。
...それにしても。
絶賛混乱中の彼女と、さっきまで謎の生物を相手に説教していた彼女が同一人物......いや同一幽霊とは不思議なものである。
「本当に。と言うか、ここまで会話しといて嘘ですって方が無理ありません?」
『そう、そうだよねぇ...... って待ちなさいそこ!なに逃げようとしてんの!』
そそくさと消えようとたらしい黒モヤが、鋭い視線と声を投げられてビクッとなったのが分かった。
美人の怒った顔は迫力があると聞くけど、まさか実態のない相手で体験するとは。
『そもそもあなた誰なの?あそこの彼のなに?...いや誰であれどんな関係であれ、超えちゃいけない一線ってものがあるでしょ?そこんとこ分かってる?』
「...あの、それくらいで...なんか泣いてるっぽいし...雰囲気的に」
『キミは黙って.........ちょっとまっ、え?待って待って、え?キミ今......さわってない?』
「え?」
『え?』
完全に劣勢状態に追い込まれてしまった黒モヤに同情心が芽生えたことも、その後咄嗟にレイコさんへ手を伸ばしたことも事実。
さわれたのは予想外...正しくは、さわれるか否か特に考えていなかった。
「...さわれちゃいましたね......冷え性ですか?」
『いや霊体みんなそうじゃない?普通』
「オレ生身の人間なんで...メジャーな霊体事情とか知らないし」
『私だってどの霊体事情がメジャーorマイナーかなんて知らないんだけど』
見た目同様、感触についても特段変わったところはなく、強いて言えば少し冷んやりと感じるくらい。
謎が深まっていくこの状況下でひとつだけ確信したのは、彼女の纏う空気がやっと少し和らいだことだった。