仙道くんとユーレイさん
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「ちなみに似てるってのは」
『髪型』
「でしょうね」
『だから今は似てない』
「でしょうね」
「...ってことは、オレの髪型でケンちゃんを懐かしんでいたと」
『うん』
清々しいまでにキッパリ言い切るレイコさんに脱力しつつ、笑いが込み上げる。
たしかに自身の髪型でハリネズミを連想する人々は今までにもいた。
当然ながらイメージとしてであって、今回みたいなのは初めてだけど。
まあ、それももう気にする必要はないだろう。話してほしいと言ったのは自分だし、当事者の彼女も気にしていない。
今は軌道修正して序盤で止まったままの話を再開させるのが先決。
「...話の続きお願いしてもいいですか?」
『えーっと...どこまで話したっけ?』
「霊感全くないオレが昨日見えたり聞こえたり触れたりしたのがレイコさんの影響かもしれなくて、それがケンちゃんの命日と関係あるらしいってとこまでです」
『ふむ.........さっきキミのこと前から知ってたって言ったでしょ?それは今言ったケンちゃんに似てて愛着がわいたからなんだけど』
「はい」
『ちょっと気分が沈んでる時とかにキミを見て元気出してたの。キミを見かけたのは偶然だよ』
「なるほど」
『それと昨日だけど...もともとこの部屋にお邪魔する予定はなかったの』
「え、そうなんですか?」
『当然。未成年の部屋に無断で上がり込むなんて非常識なことするわけないでしょう』
「なんて言うか......随分と人間味があるんですね」
『親しみやすいでしょ。まあそれで、ケンちゃんを想って哀愁に浸ってたわけ。そしたらあの女...の子の声がうるさくて...』
「乗り込んでしまった、と」
『...結果的に』
人間的だとかそうでないとか、そもそも幽霊に出会ったこと自体初めてでよく分からない。
だけど、少なくとも彼女の言う通り親しみやすさは感じている。昨日から、ずっと。
「...ははっ」
『な、なに?』
「いえ、なんでも。続きお願いします」
『え、うん......それで、ここが一番重要なとこなんだけど』
「はい」
『私の精神状態とか生霊の小娘の登場とか、そういう偶然が重なって波長的なのが合っちゃったんじゃないかって』
「波長、ですか」
『所謂ね』
「波長...」
『分かってる、正直恥ずかしいワードだって分かってるから言わないで』
複雑な顔をしていたのは気遣いと後ろめたさ、そして彼女が言うところの恥ずかしいワードを口にしなければならないことへの抵抗があったのだろう。
彼女が言いづらそうにしていた訳が、やっと理解出来た。
たまたま生霊の女の子が自分の元へ現れ、たまたま目を覚ました自分が違和感を抱き、たまたま大事な家族の命日だったレイコさんが乗り込んできて、たまたま全員の波長が一致し、たまたま声をあげたことが意思疎通を図ることに繋がった...と。
...うん。
「やっぱカオスですね」
あと、ものすごいミラクル、かな。