仙道くんとユーレイさん
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「ケンちゃん...って命日だったってご家族ですよね」
『...うん、そう』
あの子、と呼ぶ相手なら少なくとも両親や祖父母ではないだろう。
一般的な家族という括りの中、且つ男性で可能性があるのは兄弟、従兄弟......あとは、配偶者。
「...そんなに似てますか?」
『正直今はそうでもないよ。性格だって全然違うし.........って失礼だよね、ごめんなさい』
どれだけ見た目が似通っていても、彼女の言うように性格で本人との違いは認識せざるを得ない。
きっとそれは、時間が経つにつれて強く感じられるはずだ。
「謝ることなんてないでしょう?」
『...嫌じゃないの?』
「全然。むしろそんなに大事に想われてるご家族と似てるなんて光栄ですよ」
同情でも慰めでもない。
あんなに優しい眼差しを向けられていたことが、純粋に羨ましく思えた。
『...キミ、変わってるね』
「たまに言われます」
『ホント変わってる。初めてだよ、キミみたいな人』
「そんなにですか?」
『ええ。初めて会った............ハリネズミと似てて光栄だなんて言った人』
「ははっ、たしかにそれ............ん?」
『ん?』
「ん?」
お互いに目を合わせたまま動きが止まる。
気のせいだろうか、なにか今ものすごく違和感のあるワードがあったような。
「...レイコさん、今なんて?」
『変わってる?』
「もうちょいあとです」
『初めて会った?』
「惜しい、あと一歩」
『ん?』
「行き過ぎ行き過ぎ」
『...ハリネズミ?』
「そうそこ」
『ああ、ここね』
「そうそこです...じゃなくて......ハリネズミ?」
『うん』
不自然に思うことも訂正することもない、はっきりとした肯定。
どうやら、彼女の言い間違いでも自分の聞き違いでもないらしい。
「亡くなったご家族って......その...ハリネズミ、ですか?」
『そう。ハリネズミの剣山君、愛称はケンちゃん』
僅かな問答と比例しない情報量。
そしてそれらに対し抱いたいくつかの感想が、頭の中でぐるぐる回っている。
そんな中、真っ先に口をついて出たセリフ。
「...珍しい名前ですね」
こういうところかもしれない。
...と、今になって彼女から指摘された自分の順応性を実感した。