怪我の功名
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「そのシンデレラって...魔法使いとかカボチャの馬車とか出てくるあの...?」
「ああ、そのシンデレラだ」
「ますます分からない...どの辺が似てるの...?」
「そっくりじゃないか?階段で靴を片方落としてしまったところが」
困惑が抜けないまま訊ねる私に、彼は微笑みながら続けた。
階段は降ってたんじゃなくて登ってたし、着てたのは綺麗なドレスじゃなくて指定の体操服だし、落としたのはガラスの靴じゃなくて借り物のスリッパだし、そもそもお城じゃなくて学校だけど、彼には童話の中の一部に見えていた...ってこと?
なにそれ.........なにそれ、かわいい...!
あとそれ、状況的に王子様ポジションは他でもない牧君だよね?
どうしよう、嬉しすぎる...!!!
「...やはり不快だったか?」
返事をしなくなった私に不安を感じたらしく、心配そうな声で問われた。
いいえ、いいえ。不快どころか歓喜の舞を踊り出したいくらいです。言えないけどね。
「ふふっ...ごめん、考えてたらおもしろくて...あははっ!」
「嫌じゃなかったか?」
「全然。牧君、すごくかわいいこと言うんだね......あ、そういえば」
「どうしたんだ?」
「ラッキーポイント思い出した!」
そう、今日の自分のラッキーポイントは『プリンセス』。
つまり彼の言うシンデレラは、状況的にであれどそれに該当する。
「また牧君のおかげだね。ありがとう」
「役に立てたのならなによりだ」
「間違いなく功労者だよ。それにしても、あの占い当たるね。明日も見よっかな......っと、着いた着いた」
会話の途中ではあるが、目的地である更衣室に到着し、彼とはここでお別れだ。
名残惜しいけど、午前中の不運は全て帳消し......どころか幸せに満ちている。
「ここまでありがとう。お話も出来てすごく楽しかったよ!」
「いや、こちらこそ。...ああそうだ上田」
「なに?」
「”踊り場”だった」
「え?」
「ラッキーポイント、とやらだ。オレのな」
「牧君、の...」
「占いを見たのも、あそこを通ったのも偶然だったが...こうして上田と過ごせた。感謝しないとな」
「...!」
どうやら、ラッキーポイントの効果内容には最下位をトップに押し上げることまで含まれているらしい。
再び高鳴る胸の鼓動を必死に抑えながら、あの占いの視聴を明日からの日課にすることを強く心に誓った。
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