怪我の功名
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『今日はツイてない出来事がたくさん起こりそう...!そんなあなたのラッキーポイントはーーーーー......』
たまたま目に入った占いで最下位と知ってしまったあの時。
思えばそれが負の連鎖のスタートだったのだろう。
今日提出必須の書類の存在を思い出したのは学校まであと半分の距離まで来てからだし、急いで取りに戻って再度学校へ向かう時に信号に引っかかって遅刻ギリギリ、そして一息つく間もなく初っ端の授業では抜き打ち小テスト、とんで四限目には苦手な体育の授業、ちなみに内容は持久走。
...午前だけで詰め込みすぎじゃない?
しかも体育では走り終わって休めるってなった直後に脚がもつれて捻挫する始末。
ツイてないにも程がある。負傷するにしても、せめて走る前だったら堂々と見学コースだったのに。
「失礼しました」
保健室を出て更衣室へと向かう足取りは、物理的にも精神的にも重い。
片方は靴、もう片方はスリッパと、左右チグハグな足元が間抜けさを助長しているようで余計に落ち込んでしまう。
午後には一体どんな試練が待ち受けているのやら...。
正直、いくら最下位でもちょっとくらい嬉しい出来事が起こっても良いと思う。
あの占いにあったラッキーポイント、あれに頼れば現状よりかはマシになるだろうか。
「なんて言ってたっけな...っと、あっ!」
どうやら午後の不運がスタートしたらしい。
階段を登りながら考えていると、あと一段と言うところでスリッパが脱げ、来たばかりの道を滑り落ちていった。
登るよりも降る方が負傷した足では一苦労だと言うのに、あろうことか一番下に着地するなんて...。
小さなこととは言っても、こう何度も良くないことに見舞われたら気が滅入ってしまう。
捻挫に至っては、もはや中〜上レベルの災難では?
いずれにせよ、いつまでもここで嘆いているわけにもいかない。
履物がないのは不便だし、第一あれは学校の備品。返せなくて困るのもまた自分。
「はぁ.........」
「上田?」
あわよくば不運も一緒に出て行かないかな、と深めの溜息を吐いて回収に向かおうとした矢先のこと。
よく知る声が聞こえ、思わず動きが止まった。
...否、ある意味では動きは加速したと言えるかもしれない。主に心臓の。
「ま、牧君...」
一拍置いてゆっくり振り返った先には、予想していた通りの人物が立っていた。
牧紳一君、私の好きな人。
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