しりとり
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つい先日、彼女と共有している動画アプリの履歴を誤タップした時のこと。
恋人だかそれ未満だか、とにかく一組の男女がしりとりに気持ちを紛れ込ませるやりとりが流れた。趣味ではないためすぐに消したが、回りくどいことをする人間もいるものだな...思い、なんとなく印象に残っている。
まさか......。
(“愛してる”...て言わせるつもりなんか?)
やり方はあからさまだし、今の時点では断言出来ないけれど、興味を惹かれたことをすぐ行動に移しがちな彼女のこと、触発された可能性は高い。
「...”あるじぇりあ”」
「あ、あ......”あじあ”!」
「”あにめ”」
「”めでぃあ”」
「...”あめ”」
「あ、それさっきも言ったよ!」
「...さっきのは天気、今のは食べ物。同音異義語や」
「なんだぁ...じゃあ続けるね。”めしあ”」
「”あざみ”」
「”みにちゅあ”」
「”あみ”」
「み...”みなみあじあ”」
「さっきアジア言うたやろ」
「あ、アジアと南アジアは違うし」
「あほ。アジアの中の分類された一つが南アジアやろ」
「...だってないんだもん!」
「”み”から始まる言葉くらい他にもあるやろ。それこそ”みなみ”で成り立つわ」
「それじゃダメなの!”あ”で終わらなきゃ意味ない...あっ」
ああ、やっぱりそうか。
「...”あふりか”」
「!...えっと、か...”かなりあ”!」
自爆したのをスルーして続行すれば、安堵と喜びが混じった笑顔で返してくる。
動画の履歴と、しりとりゲームと、今の言動。彼女は自分に”愛してる”と言わせたい、そう確信した。
別に恥ずかしいことでもないし、次にでも返して構わない。
でも、自分からその言葉を引き出そうとする愚かで愛おしい姿を見ていたい...と思うのも事実なわけで。
もう少しだけ、彼女の作戦に気づかないふりをしていよう。