単純脳
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「スイカ食べすぎちゃって」
「...は?」
「スイカ」
「...スイカ」
「そう、スイカ」
予想外すぎるてしばらく思考停止してしまう。
スイカ。
......そういえば昨日、実家からスイカを貰ったと嬉しそうに見せてくれた。冷えてないから明日...即ち今日の夜一緒に食べようと言われた記憶がある。
そう、たしか大玉半分くらいの、あのスイカ。
「...まさかあれ一人で食べ切ったんか?」
「違うよぅ...さすがにそれはキツい」
「食べ切ってへんのにキツそやけどな」
「それはそうなんだけど......実はね、今朝ご近所さんからお裾分けを...」
曰く、彼女が親しくしている近所の住人が好意でくれたらしい。それも大玉半分。
半玉でも切り分けた状態でなければ冷蔵庫に収まりきらないのに、昨日のと合わせて大玉まるまる1個分のスイカが揃ってしまっわけだ。
常温で置いておけば痛むのは早まり、せっかくいただいたのに申し訳ない...そう考えてしまうのは分かる。冷蔵庫に空きを作る為に今食べてしまおうとなるのも分かる。
が、大玉サイズの4分の1を一気食いしようとはならないだろう、普通。
「...あほ」
「だ、だってスイカ好きだし美容にもいいし...」
「健康被害でとるやないか」
「それを言っちゃあダメだよ」
「...ホンマあほやな」
「ひどーい!寝込んでる人間に言うこと?」
「その割には元気やないか」
「それは烈の顔見たらからだもん」
「...あほ」
「あ、また言った!3回目だよそれ」
理由は少々あれだが、大事に至るようなことでなくて良かった、と抗議の声をあげる彼女に安堵する。
当の本人はだいぶ苦しそうではあるけれど。
「うぅ…おなかが気持ち悪い...」
「胃薬いるか?」
「...いい、今は口と胃になにも入れたくない」
「ほなもうちょい休んどけ」
「うん...あ、でもご飯作らなきゃ」
「ええわ。スイカあんねやろ」
「あるけど...スイカだけが夕飯ってどうなの?」
「別にそない腹減ってへんし十分や」
「...食べ過ぎには注意して、悲惨なことになるから」
「言葉の重みがちゃうな」
「経験者だからね、現在進行形で」
相変わらず眉間に皺を寄せたまま語る彼女。
些か残念な思考回路の持ち主ではあるが、それさえも愛おしいと感じてしまう。
自分も人のことを言えない程には愚かなのかもしれない、なんて考えながら寝室を後にした。