神様のお告げ
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世間一般では噓を吐いても良いとされる日、それがエイプリルフール。
そんな愉快な日によく知る相手に遭遇したら、のっかりたくのが自分の性。
別々の高校へ通う幼馴染に偶然会ったのも、神様のお告げに違いない。
え?なに神かって?エイプリルフールの神様だよ。
「うちな、彼氏出来た!」
挨拶もそこそこに、今日のメインである話題を持ち出す。内容はベタだけど、久しく会う相手には真偽の分からない絶妙なもの。
...のはずなのに。
「へぇ」
スマホから視線を逸らさず返ってきたのは、そのたった一言だけ。
「......えっ、そんだけ?」
「は?」
「や、ほら...お、おめでとうとか」
「おーめでたいめでたい」
「雑!」
もともと騒ぐタイプではないけれど、ここまでドライな反応から察するに、嘘であることは見抜かれているのだろう。
「...ところで知っとるか?」
「え?な、なにを...?」
「エイプリルフールに吐いた嘘は一年間実現せんて」
ほら、エイプリルフールって......え、待って?
「え?」
「あと嘘吐いてええんは午前中だけや」
「えっ」
「今のは嘘や」
「えっ?!」
「それも嘘」
「えっえっ?!」
「正確には嘘ちゃうけど」
「も、もうやめて!訳分からんくなってきた!」
考える間もなくポンポンと続けられる言葉に、どんどん頭がこんがらがっていく。
「オレに嘘吐こ思わんことやな」
「はーい.........はぁ...」
「今度はなんや」
「いや...うち一年は彼氏出来んのやなって...」
「自業自得やな」
「せやから落ち込んでんの!追撃やめて!」
「あーアホやなー」
「もー!せやったら烈が付き合ってや!」
「ええで」
「えっ」
なにか今、とんでもないセリフが聞こえた気がするのだけど...さっきこんがらがった頭がまだ治っていないのだろうか。
「い、今なんて?」
「付き合うたる言うてんのや。なんや耳悪なったんか?」
「悪ないわ!......て、そやなくて!つ、付き合うてあんた...!」
「お前が言うたんやろ」
「い、言うたけど!即答て...し、しかもOKて正気なん?!」
「オレはいつでも正気や。奈緒子と違うてな」
余計な一言は抜けていないが、彼の答えは依然として付き合うことを肯定するもの。
それでも、まだ信じるには確信が足りない。
「...エイプリルフールの嘘、ちゃうよね?」
「んなもんに振り回されるタイプちゃうわ」
「せ、せやったら......うちのこと好き、なん?」
それまでスマホへ向けられていた顔が、ようやく上を向く。
「好きや」
真っ直ぐ射抜くような目は、彼の言葉が真実だと強く物語っていた。