教師はツラいよ
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「上田」
「なに、先生」
「今はなんの時間だ?」
「数学でしょ?自分の担当科目忘れたの?」
「あっ今バカにしたな先生のことバカにしたな?」
「頭を心配しただけだよ」
「余計悪いわ!...ったく、お前この問題解いてみろ」
「はい」
指名されて素直に立ち上がり、説明を聞いていても簡単には解けない応用問題にも一切の迷いを見せず、スラスラと黒板へ文字を並べていく。
「正解だチクショウ!」
「正解されて悔しがるとかそれでも教師?」
「うっせー!授業態度に難ありまくりのお前に言われたくねーよ!」
頬杖ついたり、だらけてたり、ふんぞり返ってたり
............してたらもっと強く言えるんだよなぁ。
机の上はノートが開かれ、片手にはシャーペン、もう片方はノートの上。椅子にも正しく腰掛けている。
難ありどころか非常に理想的な授業態度。本来なら感心する場面だろう。
でもこいつは例外。
「いい加減お前は前を見ろ!」
「前は見てる」
「黒板を見ろ!」
「深津君越しに見てる」
これだよ。
真面目に受けてると思わせておきながら好きな相手(らしい)を堂々と観察。注意するのが普通だろう。
「くっ...!おい、深津なんとかしてくれ!」
「上田、前見て授業受けろピョン」
「うん!」
「頼んどいとなんだけどすげー腑に落ちない」
「先生残り10分だよ、早く進めないと」
「ここまで40分一度たりともこっち見なかった奴がそれ言うか」
「先生、押し問答するだけ時間の無駄ピョン」
「深津君の言う通りだよ」
「お前深津にだけは従順だな」
「なにを今更分かりきったことを」
なんだその、やれやれみたいな言い方。
あと他の生徒は何故この状況で普通にしてられる?それが一番の謎なんだが。
「...なあ一之倉、なんでみんなツッコまねーの?」
「慣れです」
「慣れんなよ」
「それに放っといた方が害がないので」
あー、なるほど。つまりアレね、うん。
「俺さえスルー対応出来れば良いってわけね」
「はい」
「そっか......じゃ、再開しまーす」
泣くな俺、この環境が特殊すぎるだけだ、絶対。
......しかし、いくらガン無視のがスムーズに進むとは言え、このまま放っておくのは如何なものか。
そりゃ個人的にはラクしたいから首突っ込みたくないけど...教師だし、一応。
「上田、きさm...お前の授業態度についてだが」
「貴様って言わなかった?今」
「言ってない」
見た目の愛らしさに惑わされ、まだまだ子どもだし自由奔放だよな、なんて笑って受け入れていた昔が懐かしい。あの頃は俺も甘かったな......半年も経ってねーけど。
正直今はもう授業以外で顔合わすのめっちゃ嫌。
疲れるし本音出るし。
「まあいいや。授業態度がなに?問題でも?」
「問題しかねーわ...授業中に他の生徒をガン見すんのやめろ」
「私は深津君しか見てない」
「だーかーらー!深津をガン見すんのやめろっつってんだよ!あいつも気が散るだろ、やめてやれ」
「深津君が私の視線如きで集中力を欠くわけないでしょ、もう少し考えてもの言って」
「お前それ言ってて悲しくないのか」
「別に。むしろ深津君の動じなさを再認識してすごくキュンとした」
「お前の感覚がわからん」
「いつだって深津君は私のことを狂わせる」
「お前だって俺のこと狂わせてるよ、主に授業中」
「なにそれセクハラ?教育委員会にチクるよ」
「シャレにならんからやめてくれ」
高校生の相手ってこんな疲れるもんだっけ。
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