これは正夢ですか?
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委員会の仕事は単調なもの多い。
でも、私はそれが結構好きだったりする。
何故って、好きな人と一緒に作業が出来る、絶好の機会だから。
「深津は正夢見たことある?」
「ないピョン」
無言で作業を続ける委員会の片割れに振った話題。相手は手を止めることも、顔を上げることもなく即答した。
一見ドライに思えるけれど、これで結構優しめな対応だったりする。本当の塩対応だったら、そもそも話題だって振れない。
「そっかぁ。私ね、こないだ見たの」
「そうかピョン」
「内容気になる?」
「ならないピョン」
「とみせかけて?」
「ならないピョン」
「からの?」
「ならないピョン」
...うん、塩対応じゃない...よね?
「聞いてよー!」
「やかましいピョン」
「だって聞いてほしいもん」
「なら勝手に話せピョン」
「え!聞いてくれるの?」
「そう言ってるピョン」
半ば呆れたように答える深津に、申し訳なさよりも嬉しさが勝ってしまう。
そんな己を恥つつも、結局は逸る気持ちが抑えられない。
(優しい......深津...好き...)
これだから、恋煩いは厄介なのだ。
「夢の中でストーブの給油しててね」
「そうかピョン」
「次の日の朝起きてストーブつけたら、ピーピーって鳴ってね」
「そうかピョン」
「確認したら給油ランプが点滅しててね」
「そうかピョン」
「たまに接触悪くても鳴るから持って確認したら軽くてね」
「そうかピョン」
「結局給油することになったんだよ!」
「そうかピョン」
「ホントに聞いてる?」
「そうかピョン」
「もー!」
「冗談ピョン」
人を遇らうことが上手い彼に、こうやって振り回されてしまうのは今に始まったことではない。
でもきっと、大部分を占めるのは惚れた弱味。
「とにかくね、夢と同じだったの。これって正夢だよね?」
「少なくとも正夢の定義とは合致するピョン」
「やっぱり!初めて見たなぁ」
「...嬉しいピョン?」
「うん、なんかおもしろいなぁって」
「そうかピョン」
「ふふ。あー、深津と話すの楽しい......あ」
作業を怠らずにいた手が、ふいに止まる。
「今度はどうしたピョン」
「えーっと、その......も、もしかしたら正夢かもしれない夢...も、見たなぁって...」
正確には、夢で見た状況と酷似していることにたった今気づいたのだが。
「どんな夢ピョン」
「ぅえ...?!き、聞くの?」
「聞くことで正夢の判定が下されるとみたピョン」
「お、仰る通りです...」
休むことなく手を動かしながら推理を披露する深津に、答えるしか選択肢はないと悟る。
勘の良い彼のことだから、今からする発言で私の好意が伝わってしまうかもしれない。いや、決定付けることになると言った方が正しいだろうか。