そーゆーわけでよろしくね
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「仕事やったん?お疲れやなぁ」
「疲れたよぉ、でも仕事は好き」
「ええことやん」
「良くないぁい!」
「えらい荒れとるなぁ」
「そーよ、荒れてんのよ、とばっちりくうわよ」
「それ警告?脅し?」
「予告よ、よーこーくー!」
「ははっ、とばっちり受けるん決定事項やんか」
「恨むなら、私を恨みなさぁい」
「そこはボク自身ちゃう?」
「細かいことはいーの!ね、なにが嬉しくてさぁ、誕生日にさぁ、元彼と!浮気相手が!仲良くしてるとこ!見なきゃいけないのっ!」
「災難やったなぁ」
「だいたい!あいつが浮気すんのが悪い!」
「せやなぁ、浮気はあかんわ」
「でしょ?!しかも私と正反対のタイプって、当てつけかっ!だったら別れてから次行け!」
「うんうん、分かるわぁ。ボクも同じ経験したし」
「えーっ、キミも浮気されたの?」
「されたされた。家行ったら真っ最中やったわ」
「マジ?」
「相手も女の子やったし」
「マジ?!」
「びっくりしたわホンマ。これ数時間前の話やで?」
「はー?!私より修羅場じゃん」
「まあもう終わったことやから別にええんやけど、寝るとこ探さなあかんくなったんはいただけんわ」
「最近の子はドライねぇ」
「お姉さんもそんな歳変わらんやろ」
「今日で28、またアラサーに近づしましたぁ!」
「お姉さん美人やから気にせんでええと思うわ」
「あっはっはっ!キミ良い子ね!......よし、決めた!キミ住むとこないならウチにおいで!」
「えぇ?ボク今無職やねんで?」
「いーのいーの!あ、代わりに家事代行してくれたら助かるわぁ」
「そんだけでええの?」
「そんだけってねぇ!家事は!大変なのよぉ!ハウスキーパーも立派な職でしょ!」
「ははっ、せやなぁ......ほな、お言葉に甘えさせてもらおかな」
「しっかり甘えるが良いわ、あはははっ!」
*****
徐々に思い出してきた。
たまたまバーで彼から話しかけられて、気づいたら愚痴ってて、そしたら彼も若干似たような境遇で、酒の勢いで話を進めてしまって、今に至る。
「......私めっちゃ絡み酒してんじゃん」
「声かけたんはボクやで?」
「そうだけどさぁ...」
「あの後に立ち寄った夜カフェもすごかったなぁ。普段からあんなんなん?」
「いや普段はもっとこう...あんな痴態......って、え?今なんて?」
「痴態て、あっはっはっ!」
「待て待てスルーしないで夜カフェって言った?」
「あれ、そこは覚えてへんの?」
酔っ払ってる時の発言を果たして翌日も記憶しているのかとこぼす彼に、証人をつけてしんぜよう(マジでこう言ったとか)、と近くで夜カフェをしている身内のもとへ乗り込んだそうだ。
「店内入るや否や声高らかに宣言しとったで?」
ほら、と向けられたスマホの画面に映っているのは紛れもなく自分。
《おねーちゃぁん!この子今日からウチで暮らすのぉ!よろしくねー!ばいばーい!》
《え、なん、えっ?...ちょ、ちょっと待って、待ちなさい奈緒子!奈緒子ー!!!》
《お仕事お疲れ様ぁー!行くぞ、淳君!》
《はいはい》
《コラ!はい、は一回でしょ!》
ビシッとカメラに指を差す自分の姿で映像は終了していた。
「な?」
「なんでこんなの撮ってんの?!」
「えー、奈緒子さんが言うたんやんか」
「ウッソ」
「ホンマ」
今からお姉ちゃんに証言するから撮っておけと言ったらしい、私が。
晒した醜態とさっき笑われた理由が分かった。記憶ないのに酔っ払った時と全く同じこと言ってたら笑うよね。うん。
「...あれ待ってよ、てことはお姉ちゃんから」
急いで自分のスマホを確認しようと画面をタップするも反応しない。
「で、電池切れ」
「さっきの撮る前に電池切れや言うとったけど充電してへんの?」
「してたら絶望なんかせんわ!」
思わず叫んでしまった。
彼は人の物を勝手に触らないと言うマナーを守ったにすぎないと言うのに。
ああもう、自己嫌悪。