そーゆーわけでよろしくね
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そもそも何処で会って何故一緒のベッドで寝ているのか。
「えーっとその、キミ...ごめん、名前聞いてたかもだけど思い出せなくて、教えてもらっても?」
「ええよ。ボクは土屋淳」
「そう、土屋君ね。ちなみに私の名前は...」
「上田奈緒子さん、やろ?」
「...はい、その通り」
フルネームで知っていると言うことはやはり自己紹介済みなのだろう。悪いことをしたな、本当に。
「それでその、土屋君、ちょっと昨日のこと思い出すから少し「あ」...えっなに?」
「名前」
「な、名前?」
「せや。昨日は名前で今日は苗字て、なんや他人行儀で嫌やわ。昨日みたく淳君、て呼んでや」
「あー......分かった。じゃあ淳君」
「はいはい」
「はい、は一回...じゃなかった、思い出すまで少し待ってもらって良い?」
「ふっ...ええよ」
なんか笑われた気がするけど承諾は得られた。
さあ頑張れ自分、今まで酒の記憶は良いことも悪いことも残ってただろ、忘れてても何故か思い出すくらいだったろ!
なんて、己で己を鼓舞しながら記憶を辿っていく。
「たしか昨日は......起きて仕事行って、いつも通り...帰りは.........帰り.........あっ」
「なんか思い出した?」
「.........うん」
日付確認したのになんで忘れていたのか、そうだよ昨日は自分の誕生日だった。
......のだが、特別出かけたいとこなんてない、けど家でゴロゴロするのも勿体ない。ならば翌日、即ち今日を休みにしていっそ仕事に行こう、そして夜にゆっくりお酒でも、と......ここで酒が出てきたわけだ。
でもまだそこはいい、普段通り節度ある飲み方をするつもりでいたことだし。
退勤してちょっとおしゃれなお店でご飯を食べて良い気分でいた、ここも悪くない。
問題はその後。
バーに向かう途中の横断歩道で信号が変わるのを待っていた時のこと。向かいの店から一組のカップルが出てくるのが見えた。
別に自分が一人で誕生日を過ごしているからってその辺のカップルをやっかむことはない。ここにくるまで何組かすれ違っているし、気に留めてないだけでもっとたくさんいたかも。
そう、相手が元カレじゃなきゃ同じようにただの通行人で終わったこと。
念のため言っておくが元カレに対して未練はない、一切ない、雀の涙程もない、絶対ない、断言する。
だいたい別れたのは元カレの浮気が原因だ。
相手は自分とは真逆の、小さくて可愛い小動物みたいな印象の、ふんわりした雰囲気でいかにも守ってあげたい!って思わせるような女。(どんだけ可愛くても私がいること知ってて元カレと関係持ってたから女の子とは言ってやらん)
ショックだった。浮気された事実もだけど、ここまでタイプの違う人間を相手に選んでいたことが本当にショックで、同時に冷めた。
当然別れたし、半同棲状態だった住まいは速攻解約して今の住居に引っ越した。正直前より会社も近くて便利だからいろんな意味で気に入ってる。
と、まあそんな感じで良くない思い出の相手を自分の生まれた日に見てしまい、ほんのり幸せだった気持ちが降下したわけだ。
しかも隣にいたのはあの時の浮気相手の女。
もう一度言うが未練はない。あるのは過去の不快な思い出と目の前の現実だけ。
歩きながら飲みたいお酒のことを考えていたけれどそれはもう頭から抜けていて、とにかくアルコールを摂取したい気持ちしかなかった。
足早に向かったバーではカウンター席を陣取り適当にオーダーしてひたすら飲んで、時々マスターに大丈夫かって確認されて、愚痴ろうかと思ってやめて、をひたすら繰り返してた気がする。
......そうだたしか、何度目かのマスターの声かけの後声をかけられたのだ。
「お姉さん、なんや悩み事でもあるん?」