短所は長所とも言えるので
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「あーダメだ、花粉症薬しかない」
ひとまずソファーへ座らせたは良いが、この家にはアレルギー薬があるだけ。
薬不要な生活は良いことだけど、最低限のものは揃えておいた方が良さそうだ。こういう不測の事態はもちろん、自分がダウンした時も困る。
「せめて頭痛薬があれば...」
「ええよ、薬飲む程ちゃうし」
「今病院行ったら処方間違いなしの顔で言っても説得力ないのよ。あ、そういえば...いつから具合悪かったの?」
「ついさっ「ここまできて変な嘘吐かないでよ」...昼くらいやったかなぁ」
「じゃあ悪化しちゃったのね。ほら、今日はもう休みなさい」
「けど、まだやること残っとるし」
「それは私がやるから」
「そんな、奈緒子さん仕事帰りで疲れとるのに」
「今現在疲れ切ってる人に心配される程の疲労はないから」
「ボクの仕事やのに...」
「そんな状態で酷使させるわけないでしょ」
「けど...」
「あーもう、だまらっしゃい!私をブラック企業経営者にしたいの?」
「...はは、そらあかんなぁ」
「よし。じゃあ寝室行くよ、立てる?」
「ん......あ、風邪やったら移してしまうし客間使わせてもらうな」
「体調不良者が気を遣わなくてよろしい、しっかり休めるとこで寝なきゃダメ。ほら、手出して」
「...ん、お願いします」
ここにきてようやく素直になったらしい彼が、差し出した手をとる姿はまるで小さな子どもに見えた。
(...薬とか、いろいろ買ってこなきゃな。明日休みで良かった)
*****
で、すぐ近くのドラッグストアへと駆け込み、必要なものを買い込んで帰宅したのがさっき。
「なんで今やってんの?」
「昨日やるつもりやってんけど、忘れとって」
「そういうことじゃなくて、どうして寝てないのかって聞いてるの!」
「あんま寝てばっかなんも落ち着かんし...」
「あんたは今寝てなきゃいけないでしょ!あと、寝てばっかってまだ余裕で午前中なんだけど?昨日の夜から合わせても半日経つかどうかくらいしか寝てないじゃないの」
「ボクどっちかいうたらショートスリーパーやねん」
「過労のショートスリーパーなんて尚のこと悪いわ!社畜か!」
働き者なこと自体は賞賛したいが、正直こんな時は大人しくしてくれた方が助かる。
習慣になってるんだろうけど、今朝も私より先に起きてたし。休む気あるのか、この子。
「大して時間空けてないのに...まさか狙ってたんじゃないでしょうね?」
「ははは、どうやろなぁ」
「笑って誤魔化すんじなゃないの!」
「けど、だいぶ回復したで?」
たしかに、昨日より顔色は良く見えた。受け答えだってしっかりしている。
それでも、まだ全快したわけじゃないはずだ。
「良いことだけど、治りかけが一番気をつなきゃでしょ。それ貸して、私がやるから」
「あと2つやからボク「貸しなさい」...はーい」
「まったく......ん?てかこれ来客用じゃないの」
「寝室のはもう替えとったから。奈緒子さん、今日も客間で寝るやろ?」
あれ、もしかしなくても私のせい?
私ってそんなに不甲斐なく見える?
「...あのね、気持ちは有難いんだけど、お願いだからちゃんと休んで」
もしくは追い出されるって怖がられてるのかな。