赤ずきんちゃん


無事に危機を乗り越えた赤ずきん。
おしゃべりでとられた時間を巻き返すかのように、急いでおばあさんの元へ向かいました。

「おばあさん、赤ずきんです」
「ああ、いらっしゃい赤ずきん。鍵は開いてるからお入り」
「おじゃまします」
「よく来てくれたね、嬉しいよ」
「おばあさん、具合はどう?」
「耐えれるか耐えられないかで言ったら耐えられない程ではないかな」
「そう、無理はしないでね。これお見舞いです」
「どうもありがとう.........ん?なにこれ?ライターと可燃性スプレー?」
「あ、忘れてた」

お母さんに持たされた護身グッズは、聞き分けの良いオオカミのおかけで出番が訪れることのないまま忘れられていたのです。
おばあさんは事情を察したのか、それ以上はふれませんでした。

「そういえば、少し遅いから心配してたんだよ」
「ごめんなさい、実はその......オオカミさんとお話をしていて遅れてしまったの」
「オオカミと?」
「うん。でも、怪我とかしてないよ」
「それなら良いんだけど...よく無事だったね」
「割と理解力のあるオオカミさんだったから」
「......なんとなく分かったよ。とにかく良かった」
「ありがとう、おばあさん」

我慢強さを除けば割と普通で温厚、加えて理解力もあるおばあさんに、赤ずきんはいろんな意味でほっとします。

赤ずきんとおばあさんが談笑していると、家のドアをノックする音が聞こえてきました。

「どなたですか」
「こんにちわぁ、木こりでぇす」
「おばあさん、私が出るよ」
「ありがとう」

扉を開けた先には、体の大きな木こりが居ました。
おばあさんが療養していると聞き、彼もまたお見舞いに来てくれたのです。
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