赤ずきんちゃん
昔々あるところに、”赤ずきん”と呼ばれる可愛らしい女の子がいました。
赤ずきんはお母さんと二人で暮らしており、少し離れた森に赤ずきんちゃんのおばあさんが一人で住んでいます。
ある日のこと、お母さんからおつかいを頼まれました。
「赤ずきん、ちょっとおばあさんのところへお見舞いに行ってきてほしいピョン」
「うん、お母さん。今度はどうしちゃったの?おばあさん」
「斧の使いすぎで疲労骨折ピョン」
「どうしてそうなるまでやめないかなぁ...」
「それがおばあさんの生き方ピョン」
おばあさんは、前にも我慢のしすぎで身体を壊したことがあったのです。
「忍耐が悪いこととは思わないけど...いい加減限度を知ってほしいな」
「直接言ってやるピョン」
「お見舞いの度に言ってるよ」
「キリがないから話は終わりピョン。この果物も持って行くピョン」
「骨折の時に必要な栄養を多く含むチョイスだね」
「お見舞いの品なんだからこれで良いピョン」
「まあそれもそうだね」
「あと、途中で道草をしないように、ピョン」
「うん」
「オオカミも彷徨いてるから気をつけるピョン」
「お母さんお母さん、軽く言ってるけどそれ最重要事項じゃないかな」
「無視してればシクシク泣くだけで無害な奴ピョン、多分」
「なにそのオオカミ...てかお母さんエンカウントしちゃってない?」
「こうして無事に生きてるピョン。だから赤ずきんも無視すれば大丈夫ピョン」
「分かったよ」
「念のためこれも渡しておくピョン」
「なにこれ」
「ライターと可燃性スプレーピョン。即席火炎放射器になるから万が一の時は使うピョン」
「火炎放射器」
「動物は皆火を恐れる生き物ピョン。上手く行けば肉も手に入るピョン」
「我が母親ながら恐ろしい...」
「強いものが生き残る世の中ピョン」
「この世の真理にまで迫りそうだからもう行くね」
赤ずきんは、急いで準備を整えてへ向かいました。一応、ライターと可燃性スプレーもバスケットに忍ばせて。
ああは言ったものの、赤ずきん一人で出かけるのは初めてのことだったため、お母さんは少し心配です。
「健闘を祈るピョン、赤ずきん」