知りたいことを知れた日
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「あの、奈緒子ちゃん」
「うん?」
「あんな...えーっと...」
勢い任せに声をかけたは良いものの、続く言葉が出てこない。どう問いかけるのが正解なのか。
気にしてないと言えば今世紀最大の大嘘になるが、別にバレンタインを忘れられたくらい、チョコを貰えなかったくらいどうってことない。
彼女の考えが分からないことが問題なのである。
頭を悩ませていると彼女の方から溜息のようなものが聞こえ、反射的に顔を向ければバツの悪そうな彼女と目が合った。
「...嫌がらせのつもりやってん」
「...え?」
「嫌がらせ」
「いやがらせ...」
「うん」
つまり今回のことは自分の意思でやっていたと...?
今度こそショックで撃沈しかけたが、理由を訊かずにはいられない。
「な、なんで...?」
知らぬ間に嫌われるようなことをしただろうか。こんな回りくどい手法をさせてしまう程、彼女を傷つけてしまったのだろうか。
ハラハラしながら彼女の言葉を待っていると、下を向いたままボソッと何かを呟いた。
「...チョコ」
「え?」
「嫌やってん...去年のバレンタイン」
「去年の?」
「土屋君、チョコ貰うてたやんか」
彼氏としてのフィルターがかかっているのかもしれない。都合の良い解釈をしているだけで、本当は違うのかもしれない。
けれど、彼女の口調はいじけているように感じた。
これってまさか、
「去年、他の子からのチョコ...」
まさか...嫉妬?
彼氏が他の女の子からチョコを受け取ってしまったから?
なにそれ嬉し...
「...についてたメッセージカードで名前呼びされとったの」
「そこ?!」
そこ?!
「うちは苗字呼びやのに...彼女やのに...悔しいやんか...!」
「奈緒子ちゃん...」
原因こそ斜め上だが、結局のところ彼女はジェラシーを感じていたわけだ。
鈍感(良く言えばおっとり)すぎてこっちの気持ちに三年間気づかないでいた奈緒子ちゃんが、付き合ってからも本当にボクのこと好き?って思うくらい淡白(良く言えばおおらか)で逆ナン目撃しても「モテモテやねぇ」の一言で終わりの奈緒子ちゃんが...!
嬉しすぎる、踊り出したいくら...
「...別れる覚悟やったら出来てる」
訂正、踊ってる場合じゃない。
今なんて?
「正直自分でも思っててん...こんな酷いことよう出来たなって」
「ちょ、奈緒子ちゃん...」
「ホンマごめん...」
「待って、ちょっと待って」
「今までありが「奈緒子ちゃん!」...はい」
思わず話を遮って大声を出してしまったが今回は許してほしい。でなければ破局不可避だった。
大きく深呼吸をして調子を整える。
そして意を決し、一番重要な質問を投げかけた。