ブレイクタイム
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「次”な”やで」
「......な、”ナイロン”」
「”ンギロ川”」
「わ...”ワイン”」
「”ングラ・ライ国際空港”」
「ちょ、一旦ストップ」
「どないしたん?」
心底不思議です、みたいな表情しないでほしい。
「いやそれはこっちのセリフなんだけど?悉く返してくるのなんなの?」
「上田さんが”ん”で終わるもんばっか言うからやないですか」
「終わらせようとしてるんだって!」
「ははは...”ん”攻め如きでボクが諦めると思てるんです?」
「急に怖いんだけど...てかもう時間じゃない?」
「せやなぁ...名残惜しいけど」
「ほら、もう行った行った」
「なら、最後にもう一回だけ。上田さんで止まっとるし」
「仕方ないなぁ...って、次なんだっけ?」
「”う”、やで」
(...よし、ここは少し心を鬼にするか。どうせ土屋君には効かないんだろうし)
若干の罪悪感を覚えつつ、仕事へ向かわせる為にも放った渾身の一言。
「ウダウダ言ってないで早く行きなさいよ」
「良ければ明日、一緒にランチしませんか?」
...を、見事に打ち返されてしまった。
彼から頼まれたのはこの言葉遊びのやりとりは一回、問いかけであっても返す必要はもうない。彼もそれは理解しているだろう。
「...か、んがえとく」
そして、私がこう答えることも。
「約束ですよ?ほな、ボクもう行きますわ」
ゲームを持ちかけられた時と同じ笑顔で、彼は颯爽と部屋を後にした。
(まんまと思惑にのせられてしまった......けど、まあ...私もそういうことなんだよなぁ)
再度訪れた静寂の中、頭の中を占めるのは土屋君のことばかり。
あんな態度をとっておいて、結局のところ自分も憎からず想っているわけで。寄せられる好意に胡座をかいてばかりじゃダメと分かっていても、素直になりきれない性格が彼の優しさに甘えてしまう。
もしかすると、これも彼の計算のうちなのかもしれない。
(...とりあえず明日のランチ次第、かな)
体力は既に回復済み。残り僅かな休憩時間は心臓のドキドキを抑える為に過ごすことにしよう。