ブレイクタイム
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「はぁ...」
バイトの休憩時間、バックヤードで溜息と共に疲労を吐き出す。
ピークを乗り切った達成感及び解放感に浸っていると、開扉音と共に入室者が一人。
「お疲れ様です、上田さん」
「お疲れ、土屋君」
彼は土屋淳君。
バイト仲間の一人であり、通っている大学の後輩でもある。高校時代からの後輩の友人にあたるのが彼で、バイトの募集をかけている時に紹介されて知り合った。
「すみません、休憩中やのに」
「んーん、平気」
「ホンマ、寛いどるとこやのに...すみません」
「?いや、だから別に...」
言葉の意図がよく分からず首を傾げると、土屋君はニコッと効果音がつきそうな笑顔を浮かべる。
(あ、イヤな予感)
彼がこんな顔をするのは、これからウザ絡みしますの合図。
「上田さん、ゲームしよ」
ほらね。
「イ・ヤ」
「しりとりで会話。今からスタートや」
「やりません」
「んなこと言うて、ちゃんと続けてくれるとるやないですか」
「いや、今のは不可抗力だし...メンタル強すぎでしょ。仮にそうだとしても”ん”の時点で強制終了望まれてるの分かって?そしてそのまま続けようとしないで?」
「どんな形でも上田さんの愛やったら受け止めるつもりやから」
「めっちゃ良いこと言ってる風にするし...」
「愛の力やなぁ、これも」
「ポジティブがすぎる」
彼がこんな絡み方をしてくる理由。正直なところもう明白になっているけれど、好意を寄せられているから。
いつからだったかなんて、明確な時期は覚えていない。やたら好きだの愛だの交えたセリフを聞くようになったと感じるようになり、冗談で「それじゃあ私のこと好きみたいだね」と言う私に「やっと気づいてくれはったんですね」なんて返されたのは忘れられないけど。
「普通のしりとりでええから」
「ちょ、しつこ...」
「ボクあと2分で出なあかんし...そのちょっとだけ、な?」
「...はぁ、ちょっとだけだからね」
「愛しとるで上田さん」
「はいはい...じゃ、しりとり」
「”リトニア”」
「...”あんぱん”」
嬉しそうにしているところ悪いが、ここは速攻で終わらせてもらう。休憩時間がどうこうより、このまま続けると彼の術中に嵌ってしまいそうだもの。
良心の呵責を覚えながらも、再び強制終了させる単語を返した。
...のに。
「”ンジャメナ”」
「?!」
何故こうもあっさり返されるのか。