あと、少し
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明るく気丈で活発...かと思えば、変なところで気が抜けていたり疎かったり。
それが自分の想い人。
彼女との会話で、美術室に来た理由を問われた。
「キミの姿が見えたから」と伝えたものの、彼女からは「嘘だ」と一蹴されてしまう始末。
彼女に告げたことは全て事実だ。
私用で部室に行く予定だったのも、クラスメイトに頼まれ美術室へ用事があったのも...そして、彼女の姿を目にしたのも。
もともと自分がいた位置からは部室の方が近い。どちらの用事を先に済ませても構わなかったが、その状況なら私用を選択するつもりでいた。
部室への道を進もうとした時、目に映った想い人。彼女が小走り気味に美術室へ入って行くのを見て、すぐさま予定を変更した。
自分の行動を客観的に見れば気持ち悪く感じるかもしれない。
けれど、偶然にも巡ってきた機会を逃したくはなかった。
ちなみに、彼女の言う「驚いていた」は、扉を開けて目に入ってきた光景に対しての反応。
つい先程まで普段通りの制服姿でいた相手が、突然上半身の服を脱いだ状態でいたら驚くだろう。それが好きな相手なら、尚のこと。
結局彼女には信じてもらえず、少しだけ堪えたが。
でもそれなら、方向性を変えて攻めれば良い。
「これでも正直者やねんで、ボク」
さっき言ったことは本当だという含みも込めて彼女に告げる。
すると、この言葉に彼女は疑心的な感情を示した。まあたしかに、これは自分でも少々うさんくさく感じる。
その後は仕返しだと逆に相手から揶揄われたり、それに動揺した姿を見せてしまったりで思うようにいかなかった。
彼女に対しては本音しか告げていないのに、なかなか上手くいかない。
だから、もうストレートな表現をすることにした。
「...ちょっとは意識してくれとったらええんやけど」
美術室を去る前に目にした彼女の様子から感じた手応え、きっとあと少し。
どうかそれが自惚れではないように、と願った。