あと、少し
name change
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「走って取りに...いやさすがに怒られるなぁ」
着ているのはタンクトップ、人に見られても困るものではない。現に土屋君にはそのままの姿を見られている。
だからと言ってその格好で校内を歩き回るのは憚られるし、教員の誰かに見られたらマズい。
「あ、そや」
どうしたものかと頭を悩ませていると、如何にも閃きましたと言わんばかりに土屋君が声をあげた。
「ボクのTシャツ着たらええよ」
「...えっ」
突然の提案に思わず作業していた手が止まる。
固まる私をよそに、土屋君は脇に置いていた鞄を漁り始めた。
「もちろん未使用やで?予備のやつ」
「...い、いやいや!そんなん悪いし!」
「気にせんでええよ。部活の替え用やから」
「余計に悪いやん!教室戻ったら自分のあるし、ホンマええから...!」
「けど教室までその格好で行けんやろ?」
「そ、それは...そやけど...」
言葉に詰まる中、目的のものを探し終えたらしい土屋君が立ち上がる。
そして、笑顔を浮かべながら手に持ったそれを差し出した。
「ボクが取り行ったってもええけど、万が一女子の荷物漁る変態や思われても困るからなぁ。同じクラスやったらまだしも、上田さんとボク今は他クラスやから」
一瞬、代わりに荷物を取りに行ってもらうことで妥協しようと思ったのだが、彼には見抜かれてしまっていたらしい。
たしかに、同じクラスでも割とハードルが高いのに、他クラスの男子が女子の荷物になにかしていたら不審だろう。男女の立場が逆でも同じこと。
「...お言葉に甘えて貸してもらいます」
提案を断ったところで他に良い解決策があるわけでもない。
悩んだ末、彼の厚意に頼ることにした。