あと、少し
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文化祭まであと少し。
その準備にアクシデントはつきもの。
材料が足りないとか、上手く連携が取れず険悪ムードになるとか、テンション上がりすぎて作業そっちのけになるとか。
今回自分に降りかかった不運は、そんな重いことじゃない。
けど、ダメージはそれなりにある。
「上田、すまんっっっ!」
「オレも...すまん!」
目の前には両手を合わせて必死に謝る二名の男子。視線は私...正確に言うと、ペンキまみれになった服に注がれている。
彼らが謝罪の言葉を並べる理由はこれだ。
「もうええから...わざとやないん分かってるし」
そう、彼らはふざけてやったわけじゃない。一緒に作業していたのだから、私を含めここにいる全員がそれを知ってる。心配をする声ばかりなのが証拠。
仮にふざけていたり、わざとだったりしたら彼らを非難する声もあっただろう。
「私は大丈夫やから、みんなも気にせんと作業戻ってな」
「けど...」
「オレらのせいで服が...」
...とは言え、事故であってもクラスメイトの服を汚してしまったのは事実。二人の心情的に穏やかでいる方が難しい。
ギャラリー達は各々の作業を再開させたものの、自分達の問答は依然続いたまま。
しかし、いつまでもこの状況なのは困る。
主にこのペンキまみれの服が。
「あの「ホンマどないしよ」...いや「目に入ったりしてへんよな?」...うんそれ「まさかこんななる思わんかって」...私にも喋らせくれへん?!」
「す、すまん」
「けど上田の服が...」
「もうええ言うてるやんか、しつこい男はモテへんよ!」
「今モテ関係ないやろ!」
「オレは彼女おるし!」
「おまっ...一人だけ裏切る気か?!」
「いや知っとったやろ!そもそも仲取り「今あんたらの恋愛事情どうでもええねんけど」...あ、すまん」
「今度こそ作業戻り?私も早よ着替えたいし」
「...せやな、引き留めてもうて悪かった」
「ん、これからはしつこうせんことやな。彼女ほしいんやったら」
「そこは余計なお世話や!」
「上田、クリーニング代は出すで?」
「私にそんなんするんやったら彼女に貢ぎや」
「...そうするわ。ホンマすまん」
「はいはい、ほなうち行くわ。あとよろしく」
「任せとけ」
「文化祭で絶対彼女作ったるからな!」
「そっちは知らんけど...まあ頑張って」
「おう!」
いくつか不要な会話があっ気もするけれど、なんとか丸く(?)収まりいろんな意味でホッとする。
無事その場を後に、急いで洗い場へ向かった。