知らないことを知った日
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混乱を残したままの頭、それでも聞かなければならないことがある。
「...土屋君」
「うん?」
「もしかして、やけど」
「うん」
「お返し...意味ありやった?」
「もちろん」
「...去年も?」
「去年も」
「...一昨年も?」
「一昨年も」
「...てことは」
「うん」
「土屋君は」
「うん」
「うちのこと好き...なん?」
「好きや」
即答で返された三文字の言葉は、告白と呼ばれるもので間違いないだろう。
いつもと変わらない表情と声。だけど、この”好き”が友人に対するそれでないことは理解出来る。
そう、お返しに込められた意味を知った今なら。
「...うちめっちゃ鈍いみたいやん」
「事実鈍いて」
「や、それっぽい素振りあらへんかったし...」
「ボク、割とあからさまに好意向けとったんやけど」
「ホンマに?」
「ホンマに。多分気づいてないん上田さんだけやったで」
「ホンマに?!」
「ホンマに」
「...なんかごめん」
「やっぱ上田さんにはストレートに言わなあかんかったなぁ」
「...スミマセン」
たしかによく話したり、連絡を取り合ったり、たまに一緒に出かけたり...思い返せば他にも、あれ?となることがあったような気がする。
と言うか彼の言葉から察するに周りの人達は知っていたと?
...いろんな意味で恥ずかしい。
一人悶々としているところへ追撃がかかる。
「それで、や」
「うん?」
「返事聞かせてほしいんやけど」
「あっ」
「え、まさかスルーされるとこやった?酷いわぁ」
「た、タイミング見失ってしもて...」
「ほなもう一回言うな」
「えっ」
「上田さん好きです、ボクと付き合うてください」
「あ、はい」
我ながらこの答え方はどうなんだろうか。
もう口にした後ではあるけど、さすがに雑すぎると思われないか心配になる。
が、それは杞憂に終わった。
何故って、彼の方へ抱き寄せられしっかりホールドされているから。
少し苦しいような気がするものの、多分マイナスな感情からくる行動ではない。
「やっと届いたなぁ」
「...ごめん、気づくん遅なって」
「この瞬間の為やと思えば全然平気や」
「今度はちゃんと調べるね」
「それ逆プロポーズ?」
「えっ」
「これから先も一緒に居れるってことやろ?」
「...土屋君、すごいなぁ」
「?おおきに」
自分の鈍感さと対極的に、土屋君の方は驚異の読解力があるらしい。
きっと彼には及ばないだろうけど、精一杯の知識をつけていくとしよう。